「夜明け前より瑠璃色な」感想日記 その1

夜明け前より瑠璃色な 初回版 (DVD-ROM版)

夜明け前より瑠璃色な 初回版 (DVD-ROM版)

実は買ってました(↑正確には通常版なんですが、Amazonの画像がないのでまあ良いや)。


フィーナ・ファム・アーシュライトシナリオ
一言、良かったです。この作品、僕にしては珍しく絵とキャラ萌え目当てでの購入だったのですが、正直、予想以上にストーリーの完成度が高くて素直に引き込まれました。うれしい誤算でしたね。「お姫様とラブラブ」といった甘さよりも、身分差がじっくりのしかかって来て、デートシーンでも単純にはしゃげないようなシリアスさがありました。


とにかくこの作品、フィーナ姫のキャラが際立っています。この手の「お姫様」にありがちな世間知らずでも天然ボケでも高慢でもなく、さりとて弱々しく内気なわけでもなくて、聡明で、行動力があって、思いやりと気高さを兼ね備えているフィーナ。そうなると今度は「完璧すぎてありえない」状態になったりするものなのですが、そこは絶妙なバランスで、弱さも持ち合わせた人間としての彼女も描写されていたと思います。萌えに加えて、敬意と畏怖さえ感じさせられました。この辺はさすがお姫様ゲームに長があるAugustさんといったところでしょうか?


以下ネタバレ反転



実は達哉と付き合うことになった当初のフィーナには疑念も感じました。あれだけ「姫としての自分の責任」を考えていた彼女があっさり変節してしまったのかと。しかし誤解でした。彼女は責任を放り出したわけでも逃げたわけでもない。すべてを捨てず、その上で周囲の理解を得るべく全力を尽くしたのですね。そして達哉も、次第にそんなフィーナを理解できるようになっていきます。


「フィーナという人格は、すでに姫であることを内包しているのだ」


印象に残る一文でした。「立場か恋か」なんて二元論的選択を無効にする二人の想い。最初は「釣り合わないんじゃないか」と感じたりもしましたが、最後には達哉じゃないとだめなんだということが伝わってきました。別れや死による悲しみではなく、努力と達成による感動。良いエンディングだったです。



ところで、最初のルートはフィーナ固定なのですね。だったら初めにその旨明記しておいてくれるともっと助かるのですけど。