「人間がサルやコンピューターと違うホントの理由」

人間がサルやコンピューターと違うホントの理由―脳・意識・知能の正体に科学が迫る

人間がサルやコンピューターと違うホントの理由―脳・意識・知能の正体に科学が迫る

意識とか心とか言うのは考えれば考えるほど不思議な存在で、こういう本を読むとそれこそ脳内から快楽物質が出てるんだろうなあと思えるほど楽しいです。


著者は、人間の脳はよくコンピュータにたとえられるが、それは大きな誤解だと言います。少なくとも現在のコンピュータは脳と全然機構が異なるもので、得意分野も正反対。むしろ補完的な存在であると。なるほど。一例としてあげられるテストが面白かったです。「首を斜めに傾けても、視界の上下は変化しない」 言われてみればそのとおりで、よく考えると結構驚異的なことに気づかされました。ジャイロシステムみたい。


著者は科学者として、意識を「超物質的な存在」として取り扱うことを拒否し、あくまで「脳も意識も物質的な存在である」ことを認めます。しかし同時に、「コンピュータは決して人間の意識と同様のものにはたどりつけない」とも主張します。正直この辺の論証はちょっと怪しい。「人口ニューロンをたくさん作成して組み合わせても決して意識にはなりえないだろう」、というのは希望的観測が入っているように思われてしょうがないところです。個人的には、結構できちゃうんじゃないかと思ったりするんですけど。レプリスにも心があるってね。


この本が執筆されたのは10年ほど前だということで、日進月歩の脳科学界ではもっともっと色々発見されているのでしょうね。やっぱりこういうのは図書館ではなくて新刊を買わないとだめかな。