「屍鬼」

屍鬼〈上〉

屍鬼〈上〉

屍鬼〈下〉

屍鬼〈下〉

小野不由美さんと言えば十二国記」しか思い浮かばなかった僕は未熟者でした。ネットでお勧めに挙がっていたので手にとって見たのですが、これが非常に面白い。上下1000ページを超える大著ゆえさすがに一気にとはいきませんでしたが、ぐんぐんと引き込まれる面白さでした。山に閉ざされた小さな村に襲い掛かる死の恐怖。小野さんの世界を作り上げる描写力は見事です。数え切れないほどの登場人物が縦横に動き回るのに感嘆しました。


以下ネタバレ反転



怖いの苦手なんで、一巻の終わりあたりが一番ひやひやとしました。敵(?)の正体がはっきりと見えてからはそうでもなくなってくるわけですが、それでも果たして人間側に勝ち目はあるのかとハラハラドキドキでしたよ。なんといっても、読者は基本的に敏夫側、人間側に立つのが自然な心理というものでしょう。


ただ……桐敷沙子の魅力がこれが反則的なんですよねえ。理屈ではやはり認知できない、人として否定しなければならない存在と思っても、ああ書かれては可哀想と思わざるを得ません。というか非常に可愛らしいです。ああもうどうしたものか。静信は結局彼女のそばにいることを選びますが、シエル先輩だったらやっぱり容赦なく滅するんでしょうねえ……。どうも埋葬機関は日本の片田舎などテリトリー外のようですが。……閑話休題。ラストの余韻がこれほど切ないものだとは思いませんでした。


ちなみに、僕の沙子イメージはイリヤスフィール・フォン・アインツベルンでばっちり固まっております(笑)。髪の色とか違うかもしれませんが、気にしちゃいけません。妙にぴったりじゃないですか?



さて、ところで十二国記の続きはどうなってんでしょか?