My Merry May with be日記 総評編

最初に一言。長かった……。購入してより半年、プレイ時間40時間以上。もともと2本のソフトを一本にまとめたというだけあってずいぶんとボリュームがありました。まあ、間にhollowとか入っているので一月あたりのプレイ時間にすると随分短くはあるのですが、ある意味それがそのままこのソフトの評価でもあるのかもしれません。



「最後まで読むくらいには楽しいが、夢中になって進めるほどはまれない」



というところですかね。その理由も色々と考えられるのですが、以下個別項目ごとに感想です。当然の如くネタバレ。



・シナリオ
SFとしてとても魅力的なレプリスという設定と、さりとてあまりSFチックにならない日常のんびり感の同居が印象的だったシナリオ部。レゥのキャラクターにリース、ライカ、主人公や家族の謎までも含ませて縦横に展開するキメの細かいつくりが、名作といわれるゆえんなのでしょう。みさおシナリオのA・Bエンドの差異には驚嘆させられましたし、Maybe編でも多くのシナリオでどんでん返し的な驚きがありました。そもそも、続編で前作のお話をひっくり返してしまうという思い切った構成がすごい。それもMayでは一サブヒロインとしか思われていなかったみさおエンドから派生させるという意外性。「さすがにちょっと思い切りすぎではないか」という気がしてしまうほどです。なんでみさおなんだろうかと。


なお今作ではオリジナルのプロローグ、エピローグ、ブリッジストーリーが追加されました。旧作からプレイされている方には、「ブリッジストーリーはネタバレ」と不評もあるようですが、どんなところですかね。あれが無くても、相当な年月が過ぎ去っていることは5月のセミと古くなったDVDによって推察出来た気がしますが。


気になった点はというと、共通部分が長く次第にだれてきてしまうところや、一部キャラのシナリオにさほど意味を感じないところでしょうか。ファンの方には申し訳ないんですが、このお話、レゥとその周辺にだけしぼって攻略対象を少なくした方が良かったんじゃないかという気がします。たえさんとかもとみちゃんとか鏡さんとか、お話としての出来はともかく、本筋にさほど絡んで来ませんからねえ。私的シナリオお気に入りは、穂乃香・みさお・ライカあたりです。


あともう一点。失礼ながら文章自体には余り力がない気がします。主人公が嬉しいとき、悲しいとき、あるいは苦しいとき、その感覚があんまり伝わってこない。常に淡々とした文章運びで、何となく進んでいくという印象がありました。この辺たとえば、Kanonあたりがすごい破壊力をもっていたのと比べると劣るかなあと。



・演出
実に普通のADV形式ノベルで、特筆するようなことは無しでしょうか。ルートの分岐が結構あいまいで、攻略サイト見ないと分からないというのは難儀しました。



・音楽
KIDおなじみ阿保剛さんの担当ですが……正直弱いと思います。これだけプレイして「何となく口ずさむ」曲が無いというのはいかがかなと。ましてや「由真のテーマ曲」なんて指定されるともう全然分かりませんです。ここはもったいなく感じました。



・システム
定評のあるKIDのシステムで、機能面でこれといって不満な点はありませんが、どうしても重いのが気にかかります。絵を読み込むとき、音声を読み込むとき、ワンテンポ遅れるのがややストレスに。当然全編を通じてのことですので、プレイが中々進まなかったことの一因になりました。PS2ではこの辺が限界なのでしょうかねえ。



・総評
色々書きましたが、少なくとも良作以上ではあったと思います。これがPC版でサクサク動いたらもっと評価が上がったかもしれません。設定まわりは自分がまだ理解してきれてない感もあるので、これからもうちょっと考察してみます。
ラストでは次回を示唆する「To be continued?」という文字も出ますが、現在の売り上げだと難しいのかなあ……。プレイした人には高い評価を受けつつも、売り上げには反映されない不遇の作品といえそうです。「with be」が出たことに感謝(お話的には最初からまとめて出したほうが良かったのではないかという気もしますけど。Mayだけじゃ全然完結してませんし)。


ともあれライカが良かったですよ。はい。