「銀盤カレイドスコープ vol5」

待望の第5巻。相変わらず面白いです。今一番楽しみにしているライトノベルかもしれません。このシリーズも、当初完全に2巻までで完結という感じだったので、続編が出ると聞いたときは不安を感じたものですが、なんのその、ですね(実質的に話は進んでいないという気もしないでもないですが)。
今回の新キャラクターはスケートと芸能活動を両方こなすイギリスの新鋭、キャンドル(キャンディ・キャンディのサブタイトルがまた面白いです)。似て非なる彼女とタズサの交流の行く末が興味深く書かれていました。特に注目だったのは「孤高の女、桜野タズサ」の側面が久々に前面に出ていたことです。3巻、4巻と周囲からも「丸くなった」といわれていたタズサでしたが、キャンディとの勝負で見せたその威厳ともいうべき厳しさはまさに氷のごとし。決して悪人では無く、それなりに情もあるタズサですが、嫌われる道を突き進む性格であるのは間違いないのですね。「仕方ない」と覚悟を決めるまでに色々葛藤もあったことでしょうが……。以下ちょっと反転。




通常こういう展開だとキャンディをタズサが励ましたり、あるいはキャンディが自分でやる気を取り戻したりするところですが、恐怖に襲われ震えたままで終わるというラストは意外性がありました。今後彼女の再起(出番)はあるのでしょうか……。海原零さんは、奈落に落ちていくような不安の描写が何気なく上手いです。頑張れキャンディ、タズサもちょっと昔はそんなものだったのだから。


アニメのほうも気になりますが、ピートはどのような表現法で画面に出てくるのでしょうか。結局原作では彼の本当の容姿は不明なんですよね。タズサが勝手に想像しただけで。まあ声だけじゃアニメ的に盛り上がりませんし、適当に描かれるのでしょうが……。あと、新田さんのキャラデザ、イメージよりもずっと柄悪そうです(苦笑)。今回もエピローグで出てくる彼ですが、作中世界での「銀盤カレイドスコープ」にはどういったことが書かれているのでしょうか。そもそも売れているのか。現実よりもフィギュアスケートの人気度が高い世界っぽいので大丈夫なのかな……。