「空の中」

空の中

空の中

評判が良いので買ってみました、メディアワークスでは珍しいハードカバーな一冊。普段文庫ばかりなこともあってハードカバーはどうしてもコストパフォーマンスが悪く感じられてしまいますが、この作品の場合文庫にしたら2冊以上でしょうから、結果的には大差なしですかね(いちいちそんなこと考えてるのがしょうもない……)。
で、感想ですが「良くも悪くも普通」というのが正直なところでしょうか。読みやすい文章でまとまっていて、後味も良いのですが、さてそれ以上特に面白い作品だったかというと微妙です。白鯨の設定とか高巳と光稀のやり取りとか、朴訥さを感じる高地弁とかは良いんですけどね。瞬と真帆の行動にちょっと説得力が無い気がしました。まあ、あまりクドクド書いても作品の雰囲気にそぐわなかったかもしれませんが、途中から瞬の存在感がどうにも薄いのは否めません。10代少年のさわやかで真面目な感じの描写には、どことなく宮部みゆき作品を思い出させるものがあったんですけどね。
ところで、これはライトノベルって分類になるのでしょうか? 先日の「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」もそうでしたけど、読んでいて他のラノベとは一線を画す感覚ではありました。ラノベと一般文芸との中間点といいますか……。むしろ「ダ・ヴィンチコード」の方に近いものを感じましたね(というか、「ダ・ヴィンチ」の方がライトノベルなのかもしれない……)。