シンフォニック=レイン日記 その7

終わってしまいました。さびしいなあ……。ということで色々感想を。

フォーニ・アルシナリオ
昨日の文ではフォーニシナリオと書いちゃいましたが、アルシナリオというほうが一般的なのでしょうか。いずれにしましても、作品の最後を飾るにふさわしい優しく温かい物語でした。常にクリスのそばにいて、彼を元気付けてくれた音の妖精フォーニ。彼女とアルとのつながりはゲームの前半では全然見えなかっただけに意外でした。とはいえ記憶や性格、能力等はまったくの同一というわけでもなさそうですし、謎は残ります。まあちょっとやそっとの曖昧さは気になりませんでしたけどね。「さすが不思議生物」ってことで。あえて理屈をつければ、クリスの魔力とアルの想いが生み出した存在ということになるのでしょうか? ラストは明るくて何より。音楽と笑顔の絶えない家で、二人の未来に幸あれ、と思いました。

以下、各キャラクターへの思いなどを。

クリス
この作品に感情移入できたのは、主人公である彼の性格によるところも結構大きいと思います。やや内向的ですが、基本的に穏和で良識的。自身を卑下しすぎることもなく、傲慢にもならない適度な自信。一人称が「僕」というあたりまで含めて、この手のゲームの主人公として割と珍しいタイプではないかと。幻覚症状を抱えているほか、トルタ視点から見るとちょっと抜けているところもあったりしますが、素直に好青年です。色々な人に好感をもたれる(近くの人に限りますが)のも納得でした。


トルタ
メインヒロインとマニュアルには明記されてますし、実際そうなのでしょうが、印象としてはやや中途半端? 彼女のキャラクターが悪いということは全然ないのですが、al fine において物語の進行役としての面が強くなり、ヒロインとしての見せ場が減ってしまったような感もあります。どのルートを通っても悲しいことがおきてしまいますし、悲劇のヒロインですね。シナリオ感想にも書きましたが、彼女の嘘はとても切なく、彼女の思いは見ていて苦しくなるほどでした。


ファル
個人的には一番惹かれたキャラです。だから途中までの清楚で笑顔のファルにクリスが次第に好意を寄せていくというのも良く分かりましたし、彼と同様、演奏前夜の豹変ぶりには衝撃を受けました。ある意味、これほど主人公と感覚が一致したシナリオというのは初めてかもしれないです。で、結局それは最後まで続きまして、僕もまたクリスと同じく彼女のざらついた心の感触に魅入られたままだったりするわけなんですが。
彼女は決して悪人であるわけではないし、冷たいわけでもないと思います。ただ上を見ることばかりに懸命で余裕がないのだろうなと。クリスだったら彼女と過ごすうちに、少しづつ変えていけるのではないかなと、そんな風に希望をもってみています。贔屓目込みなのは分かっておりますが、二人にはどうか幸せになってもらいたいんですね(ただ、気になるのはラストのクリスの認識がまだ「雨の街」であることなんですよね。アルの所に行き、色々思い出した後だと思うのですが……)。
なお贔屓目ついでに書きますと、彼女のストーリーはどうも不完全燃焼です。もっともっとファルの気持ちとか二人のその後のやり取りとか書き込まれても良かったはず。まあしょうがないのでSS探して補完を目指すことにしますか。


リセ
思い起こしてみると意外なほど印象が薄いです。リセシナリオにおいてはグラーヴェのほうが目立っていたような。とにかくグラーヴェはひどいです。なぜリセを認めて送り出すことくらい出来ないのか。怒りと悲しみが残るばかりでした(でも、反面でアルシナリオでのクリスの演奏を評価してたりもしそうですねえ……)。
精神を病んで療養することになってしまうリセ。彼女を見舞うクリスに対してトルタが言った「贖罪のつもりなの?」は最初意味不明でしたが、終わってから見ると結果的にアルを見捨ててしまったことを指しているんでしょうね。あの時点でクリスはアルのことを知っていてもおかしくないはずですが、雰囲気からするとそうでもないのかな……。


フォーニ
上のシナリオ評で少し書いたのであまり無いですが、彼女の明るさにはクリスのみならず、プレイヤーも多く救われたのではないでしょうか。なおどうでもよいことですが、「ちっちゃな音使いフォーニ」というフレーズを連想してしまったのは僕だけではないはず。


アル
彼女については、とにかく「出番が少ない」ことが残念でした。せっかくパッケージにもイラストがありますのに、真にアリエッタとしての出番があるのはラストのほんの少しですよ。フォーニをどこまでアルと同一視できるかというのは微妙なところですが、個人的にはやはり少し違うような気もしますし。
物語の主軸は結局のところクリス×アルにあると思いますので、二人の関係はもうちょっと書かれても良かったと思います。トルタ変装バージョンのアルを見るに、その気持ちはつのるところ(クリスが見破れないくらいなのですから、実際あんな感じなのでしょう)。

次回はシステム面の感想や総評の予定です。