D.C.〜ダ・カーポ〜

視聴終了。評判どおりの良作でした。最後の頃は見ていて辛くなるような展開でしたが、きれいにまとまったと思います。音夢の病気とさくらの気持ち云々で「兄妹なのに」的部分が何気なく忘れ去られているような気もするのですが、もうそんなことも気にならなくなるくらい二人の仲は深まったということでよろしいのでしょうね(しかし、周囲にどう説明したのだろう……)。
終盤では3人の話とは別に、22〜24話のサブヒロインにスポットを当てたつくりが上手いなと感じました。桜は散りゆき、奇跡の日々が終わる初音島でのエピソード。ことに22話の頼子さんの回は素晴らしいできかと。正直当初は「ネコ耳にメイドさんとはずいぶんとまあお約束なキャラが……」くらいにしか思っていなかったのですが、最後に来てここまで大きな印象を残すことになろうとは思いませんでした。さびしい別れ。でも死に別れたわけではないので、たとえもう「頼子さん」として話せることもないとしても、またすれ違うくらいの出会いはできる。そんなことを思わせる余韻の残るエンドでした。ああ、アニメKanonもこのレベルで真琴の話を描けていれば、とさえ思ってしまいましたね。……ただ、結局頼子の元のご主人様って何者なんでしょう?
23話と24話はそれぞれことりと美春の話。悪くはないのですけれど、少し釈然としないところが残るエピソードでもありました。ことりについては「人の心を読む」という行為に対し、「時々嫌なこともある」とは思っていても「勝手に心を除くのは悪いことである」という認識が見られないのがどうかなと。幼い頃に能力が発現したため、「良いも悪いもなく、必要なもの」という状態ではあったのでしょうが……。純一も別にその辺触れてませんでしたね。そういえば彼も人の夢を見てしまう設定がありましたっけ。
美春(ロボット)については、彼女に罪はないのですが、本人が生存しているのに同等のロボットを作りあげ、なおかつ自我を持たせて運用するという製作者の倫理がどうにも分からないので……。それはあまりに残酷ってものですよ。……エンディングで純一に声をかけたのは美春本人でよいのでしょうか。せっかくなので彼女が目覚めるシーンはほしかったところです。
マルチヒロイン型のゲーム原作モノをここまで一本のストーリーにまとめ上げたのは見事でした。宮崎なぎさ監督は、前作「シスター・プリンセス Re Pure」も割と高評価だったと聞きますし、今後注目の方ですね。


……それにしても、この手の作品のお約束とは言え、全編に渡ってキャラクターの両親の存在が無に等しいというのは、やっぱり不自然ですよねえ。親がいない方が色々書きやすいのは分かるんですが、音夢が重病だというのにお互い連絡一つしないとは、さびしい話です。電話でも手紙でもそういうシーンが1カットでもあると印象が違ってくると思うんですが。