「代行返上」(幸田真音) ★★★ ISBN:4093791554

代行返上売りで株価下落」とか、言葉だけは散々聞く割にその実態が良く分からないもののひとつ、企業年金代行返上をテーマにした小説です。
企業が集めた年金が低金利時代で運用がままならなくなり、国に返上することになってしまう。その際株で持っていた分をいったん売らなくてはならないので株価が下がる…。まあこのあたりまでは結構知られているところでしょうが、実際上の事務手続きがやたら手間そうなのは勉強になりました。今までの社員の膨大な記録をいちいち国のデータと突き合せなければならないのでは、嘆きたくもなるでしょうねえ…。
ちなみにアマゾン等、巷の感想はそんなに良くないようで。たしかに「手に汗握るマネー小説」みたいな趣は無いと言わざるを得ず、といって勉強本としてはやや薄めではあります。ただ個人的には後味はそんな悪く無かったですし、何より返上作業をしている人達の嘆きが少し伝わってきた気がしましたので、多少評価プラスしました(6/12追記:相対バランス上、★★★☆→★★★に変更しました)。