3・西園美魚シナリオ


良いお話でした。私的にはかなり高い評価です。正直、最初にやった小毬ルートが今二つくらいの印象で期待値が低くなっていたのですが、そんな思いを覆してくれる出来栄え。美魚のキャラがかなり好みということもありますが、嬉しい驚きでした。「リトバスは最後は良いけど個別ルートがダメ」という世評を聞いていたのですが、やっぱりあまり先入観をもってはいけませんね。


「忘れられていく」という展開だけなら、まあ、KEYのお家芸といいますか、風子なり、あるいはONE(僕は未プレイですが)を思い出すところです。ただ、その色合いといいますか、かもし出される空気に違いを感じました。風子シナリオが「悲劇性・切なさ」を強く出しているのに対し、この美魚シナリオはどちらかいうとミステリ的な(シナリオ中でもミステリに言及されていました)「ちょっと怖さを含んだ不思議感」が強めに出ていたのではないでしょうか。連想したのはむしろKIDのInfinityシリーズ(Ever17とかRemember11)でした。あと、Kanonでもこの感覚は結構あった気がするので、KEY作品では久しぶり、ということになりますか。


若山牧水の歌を軸に展開される、空と海のイメージが強烈に想起される展開。歌が単なる小道具としてだけではなく、深くシナリオのテーマに関わってくるという作り。そして理樹と美魚の近づき方と、最後の締め方。どれも見事でした。満足度高いです。



どうもプレイが停滞気味でしたが、この調子ならやる気が出てきましたよ。2週目にして世界の謎的要素もちりばめられてきましたしね。さて次はどうしますか。樫田レオさんのシナリオがこれだけっぽいのは残念です。