ひまわり日記

アクアシナリオ終了。


胸に迫る強い想い。明かされていく真実。圧巻怒涛の密度で描かれる物語を堪能し、心底しびれました。ああ、これが僕が美少女ゲームに求めているものなんだなあと再認識。SF関連用語で「センス・オブ・ワンダー」という言葉がありますが、今作はまさにこの、感覚を存分に味あわせてくれます(……と、少なくとも僕は思います。どうやらセンス・オブ・ワンダーの定義は萌えと同じくらい広いみたいですので)。


セカンドエピソードから、実質上のメインヒロインを張ったアクアの物語も、これで一区切り、でしょうか。正直、ここでオーラスでも僕は今作を絶賛していたことでしょう。ああしかし、どうやら、まだ2つもエンドがあるようではないですか。嬉しいかな悩ましいかな。何が悩ましいのかというと、アクアにあまりに感情移入したために、次のシナリオに進むことが彼女から離れるようでさびしいのであります。こんな思いを抱かせてくれるゲームのなんと貴重なことか。


さてでは、ネタバレ感想を。



アオイを失った陽一と、大吾を失ったアクア。傷ついた二人が寄り添うまでの物語。何しろ前章でアクアの過去の姿をたっぷりと見ているだけに、安易にするとアクアがただの浮気ものになるところですが、そんなことは全然なく、「過去から一歩抜け出すことが出来て本当に良かった」と心から祝福したくなる、素敵な二人となってくれました。


何より印象に残るのはアリエスの糾弾ですが、このあたりはまあ、みんな若くて、良くも悪くもナイーブなんだなあというところがビシビシ伝わる名シーンです。陽一もアクアも、昔好きだった人から確かに離れようとしている。だから今この二人が恋人同士となったとしても、それがいつまでも続くという保証はどこにもない。でも、それでも二人で支えあいたいという、心からの想い。感動的ですねえ。


実は陽一が飛行機事故にあっていなかったというのも驚きの事実。そう来ましたか。Hシーンで、例のごとく避妊しない方々だなあ、などと突っ込もうかとも思っていたのですが、まさかそれまで伏線だったとは!? そんなのお釈迦様でも予測できないってものですよ。やられました。


細かい不満はあります。まずはアクアの攻撃性が行き過ぎに感じられること。実弾をいきなり人に向けて撃つというのはさすがに引きます。一歩間違えれば銀河は大怪我ですよ。というか、現に怪我してます。宇宙育ちで常識がないんでしょうか。あるいは自らの能力のため、「怪我というものは一瞬で治せるもの」という感覚が身についてしまっているのかも知れませんが……。選択肢もちょっと間違えると機嫌を損ねちゃいますしね。難しい人です。


それと、陽一とアオイの関係が、TIPSでちょっと出て来るとは言え、感情移入できるほど描かれてはいないこと。そのため、陽一のアオイに対する思いがあまり伝わってきません。ここはもったいないですね。もっとも、今後描かれてる可能性はありますが。


あとは、このルートがファーストエピソードと両立しないことですかね。マルチシナリオ形式のゲーム上やむをえない部分はありますが、ファーストエピソードの最後、陽一と銀河がひまわり号を打ち上げる場面、そしてアクアが大吾の本を読む場面が結構良かっただけに、今シナリオでは実現しないのが惜しい。


さて、アクアに後ろ髪引かれつつ、明香シナリオに行ってみますか。