「銀盤カレイドスコープ 7」

お待ちかね、銀盤カレイドスコープの新刊です。作者は前巻の後書きで、今回が最終巻みたいなことを書かれていたのですが、そうではありませんでした。書きたいことが増えたらしく、今回340ページの大容量に加え、少なくとも次巻以降も楽しめる。ありがたいことです。


今回は久々に、本当に久々に全編タズサが主役! 3巻以来ですか。4〜6巻の外から見た視点ではほぼ無敵状態であったタズサですが、彼女の視点になってみると五輪イヤーにリア越えを目指しつつ、悩みも苦闘もたっぷりあるのです。加えていよいよ物語も佳境ということなのでしょう。今まで扱いの薄かったガブリーとリアの出番・見せ場もたっぷりです。読み応え十分、期待以上でした。


1・2巻の頃はまだそれなりに萌えライトノベルチックだったのですが、もはやすっかり本格スポーツ小説に。タズサをはじめフィギュアスケートの世界では頂点に立つ天才ぞろいなキャラクターなわけですが、その中での努力、自負、個性もろもろがしっかり書かれていると思いますね。以前も書いたかもしれませんが、作者の海原零さんの文章力はもっと評価されても良いようにおもいます。ガブリーとタズサのやりとりは良かったなあ。


なお後書きには、アニメに対する苦言と思われる一文も見られます。……まあ、惜しい作品であったことは否めませんよね。タズサとピートのラブコメとしてだけ見た場合の脚本は決して悪くなかったのですが、いかんせん作画と、なにより肝心のフィギュアスケートものとしての熱さがありませんでした。原作の続きもあることですし、どこか十分な予算と製作体制で作り直してくれませんかねえ。僕は京都アニメーションさんにはKanonよりもこっちをやっていただきたいです。無理か……。