「まちづくりと景観」

まちづくりと景観 (岩波新書)

まちづくりと景観 (岩波新書)

「日本の町並みは美しくない」と言われて結構になるように思います。ごちゃごちゃした建物、どちらをむいても電柱と電線があり、繁華街では無秩序なネオンサインがギラギラとしている。著者はこの状況を嘆き、80歳になられる今も精力的に景観向上に向けた活動をされているようです。


美観と言っても、結局は主観なので一律のものはありません。ネオンにしてもあれはあれで日本の個性かもしれませんし。著者もその点は認めていますが、だからと言って「何でもあり」にしてしまうのは乱暴として退けます。行政も住民も自発的に意欲を持って「まちづくり」を進めることで、日本の美しい町並みを取り戻せると主張します。


本書を読んで思い起こしたのは、最近小泉首相が強く推奨している東京日本橋の青空復活策ですね。頭上を走る高速道路を地下に埋めるのには数千億円かかるそうですから、目先だけ見れば損です。財政的に厳しいです。ただ、それをきっかけに日本人が街の景観について真剣に考える機運が出来るのでしたら、意味があるのではないかとも思いました。