「天皇の戦争責任」

天皇の戦争責任

天皇の戦争責任

先日読んだ「昭和天皇」の追加勉強ということでもう一冊。558ページと、対談本とは思えないほどの分厚さです。のべ数十時間に渡って延々これだけの議論をした著者達の熱意には驚かされますね。
橋爪さんは天皇無責論、加藤さんが天皇有責論、竹田さんが司会として話は進められるのですが、さすがに皆さん前提知識が豊富で、深く煮詰められているように思われました。戦前、戦中の天皇に権力がほぼ無かったことはは合意がありますが、それでも何かが出来たか、それ以上は望めなかったのか。あるいは敗戦後の象徴天皇制への移行時、天皇は国民と死者に対して道義的責任を取るべきだったのか。そもそも侵略とは、戦争責任とは、国際ルールとは何か……。
大変興味深く読めましたが、だんだん論点が微に入り細をうがってくると、結局責任というものは有るようでもあり無いようでもあり、そもそも観念自体があいまいに感じられてきたりもします。厳密にたまねぎの皮をむいていったら無くなってしまった、みたいな印象。う〜ん、難しい。