「地球文明の寿命―人類はいつまで「発展」を享受できるか」

タイトルからして「地球文明の寿命」とはなかなかにスケールの大きい一冊です。アマゾンで一件のレビューも無い地味な対談本ではありますが、ストック型の文明とフロー型文明の対比など、そこそこ興味深いものがありました。精緻な議論という感じではありませんが、特にトンデモに走ることも無く、現代文明の危機的状況を淡々と整理している感じ。
恐いのは、今後数十億人の命が失われる「ハードランディングは避けえない」という点で著者が一致しているところです。水、食料、石油、森林……今の文明人が享受している生活では、どうあっても100年以内の破綻は目に見えているのです。物質のみならず、人権や民主主義といった近代社会の概念すら放棄しなければならないと著者は冷徹に語ります。ああ、どうしたものか……。
こういう話を見ると、目先の景気回復とか郵政民営化とか、そのあたりのことが小さくみえてきてしょうがないですね。小泉政権議席を増やしたことですし、国家、いや世界100年の計を打ち出して欲しいものです。