「ナポレオン」

ナポレオン (潮文学ライブラリー)

ナポレオン (潮文学ライブラリー)

感動しました。今まで歴史上の人物として漠然と知るくらいで、実際にどういう人物だったのか良く知らなかったナポレオン。手に取った伝記がこの本だったのはラッキーだったと思います。最初に出版されたのが実に1931年という大古株ですが、それだけの時を経てなお読み継がれ、新装出版されているのが納得の名文でした。こちらのレビューに少し引用されていますが、とにかくカッコよい、読みやすい、深みもある。現代はこういった文章を書く方はほとんど見られないだけに新鮮で、一代の英雄、麒麟児の魅力が十全に伝わってきました。ただ「戦争に勝って成り上がった皇帝」では無いのですね。アレキサンダー大王やローマのカエサルに並び称されるのもむべなるかな。嗚呼、ワーテルローの悲運とセントヘレナでの悲壮が胸に迫る……。
それにしても、歴史というのは時折こういった人物を生み出すものですか。そこがどこまでも不思議であり、魅力的でもあります。


鶴見祐輔さんの他の著書も読みたいなあ。