「葉桜の季節に君を想うということ」
葉桜の季節に君を想うということ (本格ミステリ・マスターズ)
- 作者: 歌野晶午
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2003/03
- メディア: 単行本
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ちょっと前の作品ですが、評判の良さを聞いていたので古本屋で購入しました。で、早速以下反転。ミステリーですゆえ。
実は事前のレビューで「叙述トリック」ということだけは知っていました。知ってしまったときは「しまった、これで読む楽しみがかなり減ってしまった」と後悔したものです。しかしながら、終わってみればそれはまったくの杞憂でした。真実が明らかになった時の驚き。素直に「やられた」と脱帽しましたよ。
いやまあ、確かに振り返ってみれば、当初からいまいち主人公の年齢がつかめないなあ、とは思っていたのですが、様々な手法でそれ以上の違和感を浮上させず、30代半ばかなあ、などと漠然と思わされていました。そしてタイトルがぐっと生きる。正直叙述トリックというのはだまされているみたいで(実際だまされているわけですが)そんな好きでもないのですが、まあ、見事でした(美少女ゲームでも印象に残る叙述トリックモノがいくつかありますし、実は好きなのかもしれないなあ……)。
ただあえて言うと、ヒロイン(?)にいまいち魅力が無いと言うか、人間的に問題がおおありなのはひっかかりますね……。主人公がどのあたりにひかれたのかちょっと分かりにくいかと。