「ミナミノミナミノ」

ミナミノミナミノ (電撃文庫)

ミナミノミナミノ (電撃文庫)

かの秋山瑞人さんの最新作。氏のファンのわりには読むのが遅くなってしまいましたが、これは著者自ら「イリヤみたいなの」と後書きに書いているような、二番煎じ感が危惧されたためです。ただ、実際に読んでみますとやっぱり「さすが」ですね。やや似たテイストは否めないものの、ぐいぐい引き込まれてしまいました。
秋山さんの作品の魅力というと、まずなんと言ってもちょっと乱暴目にしながら勢いのある文体であり、そこで紡ぎ出されるキャラクターの描写だと思うのですが、今作であらためて感じたのが風景描写のうまさです。夏の、寂れて偏屈な島の様子を、読んでいてありありと思い浮かべられるのが素晴らしいところ。
お話の内容としては、まだまだヒロインの様子が判然としないのと、とんでもないところで終わっているので、次巻以降を待つしかないですが、期待を裏切らない作品になるよう願っています。カタカナで繰り返されているタイトルにも、「南の」以外の意味が込められている気配がいたしますね。



P.S
……しかし、これは秋山さんファンのほとんどが思うところでしょうが、EGコンバットの最終巻はどうなってるんでしょうか。とりあえずそっちの方が気になってしょうがないのですが。