「星界の戦旗4」

星界の戦旗〈4〉軋む時空 (ハヤカワ文庫JA)

星界の戦旗〈4〉軋む時空 (ハヤカワ文庫JA)

この12月に、出たことだけで驚いた本が二作。一つは「ガラスの仮面」の新刊で、もう一つがこちら「星界の戦旗」の第4巻です。前作から三年。このまま音沙汰無く消え去ったらどうしようという状況でしたが、どうやらラフィールとジントの物語は無事継続されていく様子。まずは一安心しつつ購入しました。
……が。
「あれ、文字が大きいような?」
本を開いてすぐに感じる違和感。はて、久しぶりで勘違いしたかなと思いつつ旧作を引っ張り出してみますが、やっぱり違います。今作の方が活字が一回り大きいのですね。ページ数はほとんど変わらないので、実質的な容量が減っているということになります。間が空いただけにこれは残念でした。
もっとも、内容は悪くなかったです。いつの間にやら戦争開始から7年経っていてキャラクターの年齢感覚に修正が必要になりますが、よく考えればジント以外は外見変わらないのですから大したこともありません。一艦長として戦闘に臨むラフィールたちと、戦略政治を動かす皇帝ラマージュの話はややつながりを欠いている気もしますが、その辺もこれまでと同じといえば同じでしょう。いつもの星界の雰囲気を楽しめました。
ただ、いかんせん物語がこの巻で独立していないのは痛いです。中途半端な場面で終わってしまっているのは残念というしかありません。ようやく戦争全体の話が動き出して盛り上がってきそうなところだけに、読者としては次巻がさほど間をおかず刊行されることをただ願うのみです。
なお、おなじみアーヴ語はもちろん健在。たとえ覚え切れなくても、長々しいフリガナ付き用語にはそれだけで懐かしさを感じました。文字を大きくしたのはアーヴ語を読みやすくするためだったのかと、納得しちゃいそうです(笑)。