「甲子園へ行こう!」

甲子園へ行こう! (1) (ヤンマガKC (884))

甲子園へ行こう! (1) (ヤンマガKC (884))

平成の高校野球物語も全18巻で無事完結。これは面白かったです。野球マンガとしてかなりの逸品ではないでしょうか。「甲子園に向けての努力と成長」という基本線だけ書くと、まるで二昔前のスポ根ものみたいなイメージ。しかし特筆すべきは、その物語がきっちりとリアリティをもって描かれている点でしょう。そこには作者の野球に対する深い知識と理論がにじんでいるかのようです。主人公であるピッチャーの四ノ宮からして、球速はせいぜい130キロ台。ボールのキレと制球力で勝負するタイプだというあたり、すでに他の野球マンガとは一味違うといえましょう。
弱小公立野球部が甲子園にたどり着けるのか、目指すとしたら一体どういう方法をとるべきなのか。その過程において、部員達のみならず、指導者や学校側、保護者などの人間模様もしっかり書き込まれていきます。絵はさほど上手いという感じではないのですが、書き方がとても上手いので、キャラクターに感情移入できますね。時代は移れど、目標に向かって仲間と努力する喜びは変わらないということを感じさせられました。
どのくらい知られているのか分からないのですが、野球ファンにはぜひともお勧めの作品かと思います。