CLANNAD感想 その8

古河渚シナリオ 

 ようやくというか何とかというかメインヒロインにやってきました。渚です。もっとも学生編の渚は意外なほど印象に残っていません(プレイしてから時間がたったこともありますが……)。そこでとりあえず復習リプレイ。ふむふむ、序盤の展開はこんな感じでしたっけ。最初「あんぱんっ!」と叫ぶあたりはまたKEYヒロインらしく訳の分からない言動を、と思ったものでしたが、演劇部を再興するべくひたむきな彼女にはすぐに好感を持てるようになったものです。メインヒロインとして、万人受けしなければならないという宿命をきっちりクリア。このあたり、実はなかなか難しいことではないかとも思うのですが、さすがですね。ただ、途中で良く分からないのはバスケの話。結局ストーリーの大枠にはさほど影響がなかったと、そもそも朋也自身が語ってますし、3人の絆を深めるためと言っても部外者の助けは必要ですし。朋也の過去の傷と向かい合わせるというのは分からないでもないのですが、だったら敗北でも良かったように思うのですよ。どうも春原シナリオにおけるサッカー部同様、運動部が悪役にされているようで釈然としません。あんな素人軍団に負けてはそれまでのバスケ部面々の努力はどうなるというのでしょうか? ううん、疑問……。
 ともあれ新生演劇部を発足させた渚たち。急ごしらえで創立者祭の劇に挑むわけですが、両親に引け目を感じてしまう渚に「子の夢が親の夢なんだよっ!」と叫ぶ秋生さん。どうも渚が不自然に落ち込みすぎなような気もしましたが、その辺は両親への愛情が強い彼女だからということでありとしましょう。しかし秋生さんのセリフには犀川先生(S&Mシリーズ)の「そんな親を子供は大嫌いだ」(だったかな)というコメントを高速脳内検索してしまいましたよ。まあこの場面では素直に良い話として受け取っておけばよいのでしょうけど。
 創立者祭が終わると話は急にスピードアップ。それまで欠片もみせなかった病気で寝込んでしまうのはやはり不自然ですかね。まあ怪しげな病気はKEYさんのお家芸ではありますが。結局留年決定し、少し道が分かれるところで単体としての渚シナリオは終了。いかにも「ああ、続きがあるんだろうな」と思わせる終わり方ではありましたが、それはAIRの前例があったからかも。もし知らなかったら少しあっけにとられたかもしれません。
 渚シナリオを振り返ってみますと、せっかく大きく扱った演劇部の話がその後のストーリーに関わらなかったというのはマイナス点のような気がします。ただ話の主軸を考えた場合、渚の魅力はもちろんですが、朋也が古河家と出会い、今まで思いもしなかった家族のあり方を知ったことが最重要なのかもしれませんね。実際、家族なんて自分の生まれ育った環境以外なかなか知る機会がないでしょうし。父、直幸との関係は引っ張りつつ、物語は続いていくのでした。