5・三枝葉留佳シナリオ

序盤は退屈でしたが、終盤は緊迫感があって一挙に引き込まれました。ただ、ラストはちょっと弱かったかな。葉留佳は最初ただの馬鹿な子に見えましたが、実は意外とまともな、いや、まともというのはやっぱりおかしいのですが、少なくとも心理的に理解できる、人間味あるキャラでしたね。KEY作品のヒロインで、あれだけ憎しみの感情をあらわにする娘は珍しいですよ。あの表情は見ものでした。


最後は姉妹の和解となったわけですが、佳奈多のやったことはやはりひどいと思うわけです。佳奈多もまた被害者ではあったといえ、そう簡単にわだかまりが解けるものかという疑問はありました。「誰も悪くない世界」と葉留佳は言いますが、本家親戚筋は十分に悪いと思います。そのあたりとの対決は、この後の別の物語、ということなのでしょうかね。


だんだん孤独感が強くなっていく葉留佳の寂しさが伝わるシナリオでしたが、逆に言うと、CLANNADよりもヒロイン間のつながりが薄くなった感がありますね。せっかく序盤でリトルバスターズ野球チームを作って和気藹々とやっていたのに、個別ルートに入った後に生かされていないなあと、もったいない気がします。たとえば葉留佳の悪い噂が流れたときに、小毬は、クドはどうしていたのかと、伝わってこないのが寂しいですね。


作品全体でいうと、やっぱりループっぽい感が強く出ているものの、まだ謎が残ります。理樹が葉留佳と佳奈多を見間違えると言うのは普通に考えればやっぱりおかしいんですよね。一卵性双生児でもあるまいし、そこまで似ているという描写は無かったはず。それが理樹の特殊性に対する伏線であるのでしょうか? もし単にシナリオのご都合主義だったらがっかりなのですが。