その5 ★朝霧麻衣シナリオ

萌え萌えでした。……と、僕がこういう感想から入るのは結構珍しいことのような。


まあ良い子ですよ。可愛いですし、努力家ですし、素直にHですし、オーソドックス妹キャラのほぼ理想系でしょう。人気があるのもうなずけますし、個人的にもほとんど好みぴったりでした。ただ理想を言えば、隠し味的にちょっと黒い部分も見せてくれるとなお良かったかなあ。ドロドロまでは嫌ですが、やや良い子過ぎな感もありました。これは麻衣に限らずこの作品全体に言えそうなことですが、達哉も含めてみんな基本的に真面目で努力家なんですよね。それが作風と言えばそうなのでしょうけど。


で、シナリオ内容についてですが、なるほど、2人は血がつながっていないことを知っているけど、周囲には秘密という設定ですか。その逆ならよくありそうですが、これは珍しいパターンです。面白いと言えば面白いのですが、だったら何も恋人になるのに躊躇する必要は無いじゃないかと思ったりもするのであり、さやかに対する説明が障害になると言う展開にはちょっと首をかしげもいたしました。ただ、秘密というのは重い反面、共犯者的快楽を伴っていたりもして、達哉と麻衣はそれゆえに告白するのをためらったのかなとも考えるところです。


とはいえ、さやかも2人のことを愛情を持って見つめていることは明白なので、多少戸惑っても物語としては簡単に収束してしまうわけで。麻衣が家を飛び出して達哉が追いついたら解決という流れはいかにもあっさりしすぎな感はありました。振り返ってみると、そもそも達哉と麻衣が両思いになるまでの描写もいささか薄かったかなあ。麻衣の部活の話なんかももっと膨らませてほしかったですし。「キャラクターはとても良いけど、物語としてはやや弱い」というのがまとめての感想でしょうか。あ、そうそう、最後に麻衣が「達哉」と呼ぶのは良かった。「お兄ちゃん」は萌えフレーズですが、恋人になってずっとそれではやはりおかしいですからね。


ところで聞くところによると、最近は実妹でもソフ倫的にはOKだそうですが、個人的にはたとえ設定上だけといえ、実兄妹だったらちょっと引く、もしくはそれを納得させるだけのかなりハイレベルな文章力が必要となると思いますねえ(「加奈」くらいならなんとか)。「義妹だからこそ良い」ってのはあるんじゃないでしょうか?


ついでに、恋愛ではなく純粋な兄妹愛から、主人公が妹の恋愛・成長を見守っていくシナリオ、なんてのがあっても面白いと思いました。受けないですかね、そんなの?