「ハドソン川の奇跡」

8月の「シン・ゴジラ」からこっち、「君の名は。」「聲の形」と、僕にしては結構立て続けに映画づいています。短期間にこれだけ映画館に行くのは久しぶりというか、むしろ初めてかも?


今回は洋画。「ハドソン川の奇跡」ことUSエアウェイズ1549便不時着水事故については聞いたことがあり興味深かったですし、何よりイーストウッド監督とあらば信頼感も高いということで観に行きましたが、期待を裏切りませんでしたね。


原題は「Sully」、これは主人公であるサレンバーガー機長の愛称ということですが、まあ、日本人的には「ハドソン川の奇跡」で正解だったような気もします。バードストライクによるエンジン停止から、奇跡的なハドソン川への着水を成功させ、一躍英雄となったサリー機長。しかし、その判断が本当に適切だったのか、彼は厳しく追求されます。心情揺れ動く人間ドラマ。加えてもちろん、飛行機着水シーンの緊迫感とダイナミックな映像も見どころ十分。96分という短めの時間の中に、見事に内容が凝縮した一品でした。


コンピュータシミュレーションではすぐに引き返せば空港に間に合ったという。でも、それはつまるところ机上の空論なんですよね。神でもコンピュータでもない人間は、つまるところその場その場で必死に考えて最善の策を取るしか無い。だからこそ、今や判断の速いコンピュータが全盛であり、AIの開発が進められているのかもしれませんが、それでもまだまだ人間の判断が要求される場面は世の中の大半を占めています。


一瞬の中で機長が下した決断と冷静な操縦は、経験と努力がどれだけのものを人に与えてくれるかという、希望ある回答でした。加えて言えば、機長だけでなく、常に自分たちの行動を信じ、機長を励ました副操縦士(彼の最後のセリフがまた味があるんだ)、冷静に乗客を誘導した乗務員、人々を救出した沿岸船や警備隊、皆がプロフェッショナル。アメリカの善意と底力を感じさせる物語でした。


それにしても、イーストウッド監督は御年86歳ですよ。86歳にしてこれだけの映画を取り上げてしまうというバイタリティもまたプロ中のプロです。僕は、俳優クリント・イーストウッドについてはほとんど知りませんが、彼の監督作品は結構観てきました。去年の「アメリカン・スナイパー」も素晴らしかったですし、これはもう、他の作品もレンタルとかで観るしかないかなあ。