「君の名は。」感想

少々出遅れた感がありましたが、「君の名は。」観てきました。新海誠監督の最新作。事前情報はできるだけシャットアウトしていきましたが、なんでもかなり人気になっているようで、映画館の一番大きいスクリーンで、そこそこお客が入っていることに驚き。新海監督の作品なんて渋谷でしか上映してないようなイメージだったんですけどねえ(遠い目)。一応ネタバレ注意。


でも、「君の名は。」はその人気がうなづけるだけの傑作でした。いまさら多くを語るのも野暮というものでしょうが、現実とファンタジー、都会と田舎、日常と危機といった要素がバランスよく組み込まれ、一組の男女の物語を、新海節な美しい絵で彩ってくれる。実にハイレベルな一品。


要素的には、いつもの新海さんらしい「なかなか会えない男女もの」であって、「ほしのこえ」を思い起こしつつ、処女作には作家のすべてが現れる的なフレーズを連想するところでありますが、今回のヒットの要因は一般性の付与ということになりましょうか。これまではあくまでアニメファン、それも男性に限っていたような対象が、明らかに広がった作風になった感じがします。どこか細田監督の「時をかける少女」や「サマーウォーズ」も連想したような。あとはタイトルの勝利という部分もあるのでしょうけど。


切ない出会いと別れ。これで最後まですれちがいだと秒速5センチメートルになっちゃいますが、一歩踏み出す行動力と強い思いを持ち続けていたのが滝と三葉なんですねえ。劇中の出来事を忘れてしまったままになるのか、それとも再開したことで思い出すのかは分かりませんが、どうかお幸せに、と心から思える2人でしたよ。


まあ、いきなり他人になってそう簡単に生活できるはずないだろとか、カレンダーとかテレビとかで年がわかるだろとか突っ込みどころはあるんでしょうが、そのへんは些細なこと。新海監督の集大成にして最高傑作を楽しませていただきましたよ。欲を言うならば、もうちょっと三葉の日常シーンを眺めていたかったかなあ。時間が短めなのでやむなしか。作り的には海外でもいけそうだなあというか、受けという意味では「シン・ゴジラ」よりも上ではないかという気もするんで、展開が楽しみです。


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それにしても、日本はやはりアニメと特撮の国なのかと思いますねえ……。「聲の形」も観ないと。かえすがえすも、新海作品がこんなにヒットしようとは、びっくりです。めでたいますが、昔から見てきたファン(と言うほど熱心でもなかったですが)としては、ちょっと寂しくなってしまうくらいですよ。windのOPでも見直そうかな。