「Re:ゼロから始める前日譚 氷結の絆」


リゼロの最新刊買いましたよ。5,500円もしちゃいましたが、まあ、おまけでBDもついてきたので良いとしますか。


……と、冗談はさておき、BDの特典でラノベがまるまる一冊ついてくるというのは、太っ腹というか、大胆な試み。それも287ページもある本格派です。こりゃ長月先生、WEBの更新ができないのも当然ですわ。内容の方も大満足の一品でした。


「Re:ゼロから始める前日譚 氷結の絆」ということで、エミリアとパックがロズワール邸に迎えられる前の物語。氷結したエリオール大森林での、一人と一匹の日々が書かれます。もちろん、完全にエミリアが主人公。良いぞ良いぞ。


以下、多少ネタバレも含んで書きますが、まず一番の感想は「エミリア、パック抜きでも強いじゃん」というものだったり。本編でもエミリアの戦闘力はそこそこ高いですが、それはあくまでパックや微精霊のサポートと魔法あってのもの。しかし本作での彼女は徒手空拳でチンピラたちを片付ける実力の持ち主でした。これは驚き。ハーフエルフって身体能力も高かったのか。そう考えると、本編1章でもエルザと氷の盾だけで渡り合っていたのは伊達ではないんですな。


それと、エミリアが基本純朴で優しく、争いを嫌う性格なのは間違いないのですが、振りかかる火の粉を振り払う分にはそれなりに覚悟は決まっているのだなと。ほわほわしてはいますが、さすがに悪意に対して無抵抗主義ではないぞと。まあこちらも、エルザとの一戦を見てても当然といえば当然なんですが、彼女の性格で理解を深めておきたいところだったので、ふむふむというところ。


ほかにも、エミリアが主人公だけあって、本編では見られない素の彼女の様子が色々伝わってきました。王候補のお嬢様でもなく、スバルから見た理想の美少女像でもない、それこそただのエミリアとしての姿が新鮮。身だしなみに興味が無いのは、鏡が怖いとかいう理由以前に単なるズボラですなあ、これは。


さてそして、本書のもう一方の主人公、パック。本編では一章での短い活躍を最後に、だんだん印象を悪くしつつフェードアウト気味な彼ですが、今作で一気に株価回復急上昇といった具合の大活躍を見せてくれます。これはもうパックファン必読としか。パックがエミリアに示す愛情の深さに涙。これを読むと、エミリアが死んだ時にパックが激昂するのも理解できます。リアのいない世界に価値はない、と本心から思っているんだろうなあ。せつない。本編でのパックの復活と活躍を期待です。


最後になりますが、一応商品本体であるところのBDについては、アニメの内容は皆さんご存知として、もうちょっとブックレットの充実が欲しかった。薄っぺらい画面写真とあらすじだけというのは残念でした。ほらこう、キャラ紹介とか世界設定解説とか魔法の説明とか、もっとやれることあるでしょ? まあキャストインタビューとかは「ゼロから始める取材生活」が充実しているのでそちらを、ってことなのかもしれませんが。


それにしても、これだけ特典小説の出来栄えが良いと、少なくとも小説のついてくるBDは買わねばならないか、と思ってしまいます。ついでにサントラも。まんまと策にはまってる感じですなあ。