「マネー・ショート 華麗なる大逆転」

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原作はマイケル・ルイスの「世紀の空売り」。以前読んだ時になかなか面白かったですし、なんといっても題材がリーマン・ショックですから、これは投資家としては見ねばなるまいかということで行ってきました。


原作の細かい内容は忘れてましたが、サブプライムローンという危うい土台の上に積み上がっていった多大な債権が崩壊するまで。主人公たちは世間の風潮に逆らい、思い切って空売りを実行し、プレッシャーに耐えぬいて最後に勝利をおさめます。しかしながら、それはつまり金融危機の発生ということであり、素直に喜べない後味の悪さも残るのでありました。何の調査もせずに貸し付ける銀行に、適当にAAAの格付けをつける格付け会社の無責任さときたら。そのバブルの漬けはアメリカのみならず、世界中の国民に降りかかったわけですから、やってられない話です。おまけに、その元凶となったウォール街の投信銀行は政府の救済を受けてのうのうと生き延びる(リーマン・ブラザーズは破綻しましたが……)。なんともはや。


映画はシリアスなだけでなく、ところどころコミカルな要素も取り入れて息抜きを図ってます。登場人物が観客に向かって用語の説明をするという大胆な作りには驚きました。なにせ複雑な話ですから、このくらいしないとダメだということですかね。ただ、それを含めてもなお難しい感は否めません。ある程度金融の予備知識がないと理解不能でさっぱりな映画になる可能性はあります。そのせいか分かりませんが、劇場はかなり空いていました。もったいないようなしょうがないような。


最後になりますが、原題が「The Big Short」なのに邦題が「マネー・ショート」なのはいかながものですかね。作者がマネー・ボールの人だからマネーつながりとかそういう狙いだったのでしょうか? 素直に「ビッグショート 世紀の空売り」で良かったように思いますが、空売りという単語もハードルが高いということなのかなあ。むむむ。