「Fate/stay night Heaven's Feel 1」

劇場版鋭意製作中(のはず)のHeaven's FeelことFateの桜ルート。僕はFateのヒロインの中では桜が一番好きですかねえ。好きと言っても、大好き、という程でもないのですが、セイバーは少年的なイメージ強いですし、凛は頼りになる友人という感じなので、必然的にヒロイン枠は桜が強くなるといいますか。セイバーや凛にはない人間的な弱さが逆に、桜の魅力でもあります。


そんなこんなで結構桜推しだったのですが、彼女のルートはかえりみられないこと苦節12年。もうダメかなと思っていたところでまさかの映画化ですから、期待は膨らみますが、現状では一体上映はいつになるのやらといった構え。ここはまずコミック版で復習&予習をしておくとしましょう。


てことで本書ですが、良い出来だと思います。まず桜が可愛い。ここ重要。可愛いだけではなく、ちょっと影のある暗いところも出ている。これも重要。話の進み方も早すぎず遅すぎず、きっちりしていますね。


ただ、どうしても「すでにFateをある程度知っている人向け」なところがあるのは否めませんかね。まあこれは原作にしたってラストルートなので当然といえば当然なのですが、ある程度予備知識がないと辛いかもしれません(予備知識がない人がどれだけ読むのかはともかく)。


あとは、桜視点と士郎視点の切り替わりがややぎこちなく感じるところもあったかな。もっとも、これはちょっと厳しすぎる見方かもしれません。ゲームで士郎の一人称に慣れているので、読むほうが先入観で違和感を覚えたのかも。もちろん、コミック版ならではの桜視点は大いに興味深いですし、今後も期待なのですけどね。


はっきり言って、長くて暗くてうっとうしい桜ルートですが、これからその魅力をどこまで引き出して描いてもらえるのか、楽しみです。