「異端の統計学 ベイズ」

異端の統計学 ベイズ

異端の統計学 ベイズ

なんだか最近「ベイズ統計学」というのが流行りの用語らしかったので、こんなの読んでみましたよ。


一般的な「確率」という言葉で思い浮かべるところの頻度主義とはひと味違い、当初に定めた事前確率に様々な得られた情報を加えていって結果を導き出すというベイズ推定。


18世紀にイギリスの牧師トーマス・ベイズが考案したというベイズ推定は、その前提に主観的要素を含むがゆえに、客観的な学問とはいえないと長らく批判されてきましたが、それでも秘めた実用性ゆえに影に日向に使われ続け、やがて複雑な計算をこなせるコンピュータ時代を迎えて、いよいよ脚光を浴びるようになった、とこういうことのようです。


本書はどちらかというと歴史・人間ドラマの書ですね。はっきり言って、最後まで読んでも結局ベイズ統計学がどういうものなのか、その理論的なところはよくわかりませんでした。おそらく、著者は出来る限り数式を使わないようにしようとしたのでしょうし、実際、数式使われても分かったかどうかは自信ありませんが、なんでそんなにベイズがひたすら攻撃されるのか、いまいちピンとこなかったです。


ベイズが選挙予想や保険の計算、海中での潜水艦探しにまで使われるという個々のエピソードは興味深かったですし、「ベイズ統計学の大活躍はこれからだ!」的な明るいトーンのラストなので、読み味は良かったですよ。でも、ベイズ統計学については結局別の入門書を読んだほうが良いかも。


それにしても、ベイズの法則を自力で再発見してまとめたラプラスってやっぱりすごい人だったんですねえ。ラプラスというとラプラスの悪魔とかラプラスの箱(こっちはガンダムですが……)くらいしか出てこなかった僕ですが、その天才ぶりを再確認でした。そのうちラプラスについての本も読みますかねえ。