SHIROBAKO 第24話「遠すぎた納品」

終わってしまいましたね。終わってしまいましたかあ。もちろん、良い最終回でした。明るくて、それでいてしんみりと。しかしそれ以上に、本作が終わってしまったことが寂しくて、じわじわと寂寥感が湧いてきてならないです。


ついに完成した三女の最終回をそれぞれのテレビ局へ納品すべく、奮闘するあおいたち。納品って、ああして直にするもんなんですね(さすがに普通は郵便とかだそうですが)データ送信というわけではないんだなあ。東京の局ならともかく、地方に運ぶのは大変ですわ。


広島へたどり着き、走るあおい。ただ走るだけのシーンなんですが、それだけで、これまでに積み重ねてきた彼女の、そして多くの人々の数々の努力が伝わってくる名シーンでありました。打ち上げでのあおいの言葉にも集約されていましたが、多くの人の情熱が、過去から現在までの積み重ねが、そしてもちろん視聴者の想いも含めて、今のアニメを生み出しているということ。それを心底理解できたからこそ、「自分はアニメを作っていく」という覚悟が、彼女に定まったということなんでしょう。


高校時代の夢へ、一歩ずつ近づいた彼女たち(りーちゃん二十歳になったんですね。みんなで一緒にビール飲んでいるのがまた嬉しい)。どんどんドーナツではじまり、どんどんドーナツで締める。未来を感じさせるラストでした。彼女たちだけではなく、登場人物ひとりひとり、それぞれに愛おしさを感じられた作品でしたね(茶沢はちょっとあれですが……)。みんな頑張れ!


放映開始時はそれほど注目しておらず、むしろ0話切りすらありえたんですが、BS放映前に1話の好評が聞こえてきたのでチェック。これが大正解でした。最初はアニメファンとして、アニメ業界の様子を垣間見るのが楽しかったですし、それも最後まで主要な魅力の一つではあり続けましたが、それ以上にキャラクターたちのリアリティのある描写と人間ドラマに引き込まれました。ヒロインも、当然周囲の人も社会人ということで、魔法や超能力もない世界なのに、丁寧に描けばこれほど面白い物語になるのだと、あらためて知らしめてくれました。大仰に言えば、アニメの底力を感じたとさえ言えます。本当に、素晴らしい作品でした。


まあ、それだけ素晴らしい作品だからこそ、視聴者も贅沢になって、もっとこうだったら、なんて要望したくなっちゃったりもするのですけどね。最後はありあの飛んでいる姿を見せて欲しかったとか、あおいの悩みはもっと深めても良かったのではないかとか。結局今回の答えは現状の肯定ではあっても将来の道筋までは見えていませんし。まあ、22くらいでそこまで考えているだけでもすごいのですが。ロロの言葉が耳に痛いのですよ。あと、前回の監督が夜鷹書房に乗り込むところや、今回の興津さんのドライビング(警察沙汰)はさすがにギャグ調にしすぎだと感じちゃいましたねえ。このへんの許容範囲は人によりけりでしょうけど。


ともあれ、数年に一作クラスの、心に残る名作でした。スタッフの皆さん、お疲れ様&ありがとうございました。できれば劇場版なんて見たいです。三女が人気になって劇場版になるという設定のSHIROBAKO劇場版なんてどうでしょ。