アルドノア・ゼロ 第9話「追憶装置 -Darkness Visible-」

スレインを運び出し治療したザーツバルグ。彼はスレインの忠誠を褒め称えつつも、自分こそがアセイラム暗殺の首謀者であることを告げるのでした。その目的は、一義的には地球との戦争による領土・資源の獲得でしたが、さらに火星の現体制に対する転覆も企てている模様。なるほど、ただの戦争好きな軍人かと思いきや、一応それなりの考えは持っていたのですね。アセイラムに対するテロも、私怨によるものではなく、あくまでその計画のための礎、皇家全体の責任であると。言動は冷酷とはいえ、論理性はあります。これは悪役としての評価を上方修正しませんと。


科学力は地球より優れながら、地球の物資と文化にはかなわないという劣等感が、歪んだ差別意識につながる。そして、皇家と一部騎士の特権による支配。今のところヴァースの民衆の様子は描かれませんが(そういうところが惜しい作品ではあります)、主食がクロレラだと結構厳しい生活っぽいですから、ザーツバルグ伯爵の憤りも分からないでもないですねえ。もっとも、すぐに武力に訴えるあたりが結局軍人の発想かなあという気がしますが。それにしても、クルーテオさんは本当に始末されてしまったのでしょうか? これからという時だったのになあ。


一方、地球側。お姉さんの見立てによると、伊奈帆はアセイラムのことを好きだということですが、どんなものでしょう。弟がモテるのは嬉しいといいますが、あれ、別にアセイラムの方の気持ちについては語ってないですよね。まあ、韻子の態度は分かりやすすぎるくらい分かりやすいですけど。


アセイラムを襲ってしまったライエ。その後の彼女の表情から、突発的な行動であったことはわかりますが、ここのところの心情はちょっと分かりにくい。祖国に邪険にされた物同士という共感が消え、火星の権力者であるアセイラムに対する憎しみが噴出してしまった。そんな理解でよろしいのでしょうか。姫も、テロを逃れたと思ったら今度は首を絞められるとは、災難なことです。さすがにこれで死んでしまうということはないでしょうが、どういう展開になるのでしょうか。