「「ニセ医学」に騙されないために 危険な反医療論や治療法、健康法から身を守る!」

「ニセ医学」に騙されないために   危険な反医療論や治療法、健康法から身を守る!

「ニセ医学」に騙されないために 危険な反医療論や治療法、健康法から身を守る!


ネットでもおなじみNATROM先生の一冊。あれやこれやのニセ医学について、丁寧かつ分かりやすく批判していきます。以前読んだサイモン・シンの「代替医療のトリック」と方向性は重なっていますが、「代替医療〜」に比べると柔らかい雰囲気であり、あとは当然日本の事情に寄り添った内容になっているのはポイント高いですね。


文章が全体的に読みやすく、著者の誠実さが感じられるのも素晴らしい。ニセ医学は批判しますが、ニセ医学にすがらざるをえない患者の心情に対しては、思いやりを感じさせます。おかげで読後感がなかなか爽やかでした。本好きとして欲を言えば、さらに内容細かくページ数も多く、なんて思ってしまうのですが、多くの人に届けるにはこのくらいの分量が読みやすくてベストなのかもしれません。


取り上げられている中で有名どころは、やっぱりホメオパシーでしょうか。普通に考えれば「ありえないでしょ」で終わりそうな話なのに、パッと検索しただけでもかなり広まっている様子が伺えます。


他にも反ワクチンとか反ステロイドとか、まあこのへんは分かりやすいところ。一方で、血液が小腸でできると主張する千鳥学説とか、「指力」で体への良い悪いをはかるオーリングテストなるものは知らなかったなあ。奇妙な主張の数々と、問題点を冷静に指摘していく著者の文章の流れには、「トンデモ本の世界」を連想しました。「トンデモ本の世界」からギャグ的な部分を取り除いた感じとも言えましょうか。それにしても、世の中、理解しがたいニセ医学が色々あるものです。


もっとも、僕も効果が実際どうなのか分からないブルーベリーサプリを飲んでたりするので、あんまり偉そうなことは言えません。プラシーボでも気休めでも、無いよりは目が疲れない気もするんですが、どうなんでしょうね。健康食品のたぐいは最近やたらと種類が多くて、どれに効果があるのか無いのか、素人にはさっぱりです。続刊として、「「ニセサプリ」に騙されないために」なんてどうでしょう(笑)。


驚いたことに、発売されたばかりの新刊だというのに、アマゾンでは目下売り切れで、中古品にプレミアまでついています。こういう本を待っていた人が、意外なほどに多かったということかもしれませんね。本書によって、ニセ医学の被害者が少しでも少なくなると良いと思います。