「誕生日のできごと」

(P[か]4-1)誕生日のできごと (ポプラ文庫ピュアフル)

(P[か]4-1)誕生日のできごと (ポプラ文庫ピュアフル)

普段はまず手に取らないような本を、ふと読んでみるのも良いものです。ま、表紙に惹かれたというのも否めませんが。


18歳から25歳まで。少女から女性への日々の中で、迎える誕生日の出来事。連続性のある短篇集といった趣ですが、なんと言いましょうか、みずみずしく、叙情的な文章が印象的で、読みやすさとともに、ちょっと心に染み入ってくる感じですね。


主人公の恵理は一見おとなしくてしっかりしているようで、内面は悩みごとに揺れ動いてばかり。まあ、この年代は大抵の人が悩んでるでしょうけどね。彼女の一人称なので視点には入りやすいです。ただ、俯瞰的に見ると好きになれるキャラであるかどうかは微妙かも。彼氏とケンカするところでは、普通に彼氏の言い分の方に共感してしまいますが、これは男目線だからですかねえ。ただ、決して悪い子ではないんですよ。その辺の揺らぎ方が、女性が書いた女性向けの小説というところでしょうか。


出てくる男性キャラも含めて「世界が違うなあ」という感でしたが、良い具合に異文化体験できたかなと。