「オール・ユー・ニード・イズ・キル」

「原作読んだものとしては見とかないといけないかなあ。評判も結構良いし」ということで週末に行ってまいりました。桜坂洋さんの「All You Need Is Kill」が出たのはもう10年も前のことですか。多分、出てからそれほど間もないうちに読んだと思います。大ヒットというわけでもなかったですが、読者からの評判は良い、知る人ぞ知る名作扱いでしたね。で、それがいかなる流れか不思議なことに、10年後にハリウッドで大作映画化と。無論、原作に力あってのことなのでしょうが、こういうこともあるものなのだなあ、と感心するような驚くようなでありますよ。


肝心の映画のほうですが、「やっぱりハリウッドはすごいもんだ」と、単純にアクションとSF映像美を堪能しました。パワードスーツに身を包み、エイリアンと戦うなんて、ヘタをすると安っぽくなってしょうがなさそうな素材を、きっちり緊迫感を保って描いてみせる。さすがです。


原作はもうほとんど覚えていないので、比較はできませんが、とりあえず主人公とヒロインが年齢上方修正されているのは分かりました。言うまでもなく、これは映画としては正しい改変でしょう。少年兵とツンデレ美少女も良いですが、やっぱり世界を救う軍人には、もうちょっと大人でマッチョな方が良いと。トム・クルーズ演じるケイジは最初は情けなくて卑怯なほど臆病な男でしたが、これもこれで成長を感じられるとともに、コメディ要素にもなっているので良い感じです。シリアスな中にくすりと笑いも入っているのはポイント高いところ。


死を繰り返して次第に学習し、強くなっていくという大筋は当然ながら原作同様ですね。ゲーム感覚というのはよく使われるフレーズですが、実写映像で見ると、実にハードなゲームであることが分かります。やりたくないなあ……。


ところで、映画は舞台がイギリスになってます。アメリカ映画なのになぜわざわざイギリスなのかと思ったのですが、どうもこれはノルマンディー上陸作戦をイメージしたんだろうなと。リタが勝利して得た「ヴェルダンの女神」の称号も、ヴェルダンは第一次世界大戦の激戦地。両大戦の激戦をギタイとの戦いに重ねあわせるというのは、気づかなければ気づかないでも過ぎますが、なかなかにイメージを喚起させられますよ(これで最後の戦いの場所がドイツだったりしたらドイツ人が怒りそうだと余計な心配をしてしましましたが、そこは配慮したのか、違いましたね)。


あえて難点を挙げるとするならば、敵さんであるギタイに魅力が薄いことかなあ。なんか触手がわやわや回っているだけで、気味が悪いばかりです。まあエイリアンなのでしょうがないのか……。しかし、人類側が明らかに火器による攻撃を受けているような描写があるのですが、あの触手、どうやって武器を操ってるんでしたっけ? どうも映像では確認しそびれました。


繰り返し見たいというほどではないにしろ、十分楽しめた映画でした。桜坂さん、良い映画化でよかったですね、と言いたくなりましたよ。以下は日経トレンディネットの良記事。


『オール・ユー・ニード・イズ・キル』はクールジャパンの新たなモデルケースとなるか?