「やる夫がウヰスキーを造るようです」が見事な最終回

やる夫がウヰスキーを造るようです(泳ぐやる夫シアター)


モララー店長さんの力作にして傑作。日本ウイスキーの父たる竹鶴政孝氏の生涯を、ウイスキーへの愛情をたっぷり込めて書ききった長編がついに完結しました。


日本にもスコットランドのようなウイスキーを、と若き日に志を立て、様々な困難を乗り越えつつも、多くの人とともに夢の実現を果たした竹鶴翁。その真っ直ぐな生き様は感動的でした。まさに一代の巨人だったのですね。最後の、ニッカが竹鶴氏に送った広告は、涙なしには読めませんでした。


僕は、この作品を読むまで竹鶴政孝氏やウイスキーへの興味など全然なかったのですが、今ではニッカウイスキーの愛飲者です(そんなたくさんは飲みませんが)。余市10年を飲みつつ完結を祝いましたよ。


それにしても驚くのは、作者のウイスキーと、本作にかける情熱です。膨大な資料をあたり、竹鶴氏やニッカ周辺の出来事はもとより、ウイスキーに関連する法令まできっちり解説。エンターテイメント性はもちろんながら、一個の学術論文を読むかのような充実感。自ら各種ウイスキー関係のイベントに出かけるアクティブさといい、恐れいります。こなたとみゆきの掛け合いも楽しかった。……ウイスキーを飲めるってことは2人は20歳以上という設定なんですよね? うん、そういうことにしておこう。


モララー店長さん、素晴らしい作品をありがとうございました。