「いちえふ 福島第一原子力発電所労働記」
いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(1) (モーニング KC)
- 作者: 竜田一人
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/04/23
- メディア: コミック
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話題になっていたので読んでみました。あの事故以来、福島第一原発の現場では一体何が起こっているのか、何があるのか。その状況を作業員の立場からリアルに描きだしたルポタージュ。これが評判通りの傑作、いや、傑作というよりは丁寧な力のこもった作品と言いましょうか。何かをおどろおどろしく誇張せず、実直な語り口が好感を持てます。
何しろ外部からは今の原発がどういう状況なのか、どんな人達がどう働いているのかということがほとんど見えてこないわけです。そこを、マンガでこうして伝えてくれるというのは大変重要で意義のあることだと思いますね。原発内部だけではなく、そこに至るまでの周辺光景も見応えのある描写です。
それにしても、暑い中を何重にも防護服を着込んで手袋してマスクして、しかも放射線被曝制限のために長い間の作業はできない。作業員さんの苦労を偲びますよ。もっとも、具体的に何の作業を進めているのかは、作業員目線のためか、いまいち分かりにくいところがあり。そういう作品ではないと言われればそれまでですが、作業の全体像やスケジュールみたいなものが示されているとなお分かりやすかったかも。
それにしても、これほど描ける人でも仕事がなくて福島原発に向かったとは。マンガ家の世界もまた厳しいものなのですねえ……。