「アナと雪の女王」

これまでディズニー作品にはほとんど縁がなく、当初は興味外。最近街でよく聴く「Let It Go」が本作の歌であるということも知らなかったのですが、あまりの評判の高さに、これは見ておかねばなるまいと行ってきました。いまさらですがネタバレ込み感想です。


なるほど、これは評判になるだけの作品ですね。「大感動」とか「涙涙」とか、そういうことはなかったんですが、面白かったです。丁寧な職人芸にきっちりお金をかけた大作という印象。これがディズニーの底力なのか……。


まずはなんといってもそのアニメーションの美しさ。今の3DCGは本当にすごいものですねえ。日本式の手描きアニメに慣れていると、ちょっと衝撃的なものがあります。特に、今作の映像面での主役とも言える雪と氷の美しさときたら。そして、実写のような、というよりむしろ実写よりも純化されたような質感というか、空気感。この味を手描きで出すことはなかなか難しいんだろうなあと、ついつい比較して見てしまいます。雪の場面といえば、近年では「おおかみこどもの雨と雪」もなかなか印象的でしたが、ちょっと種別が違うか。


ストーリー面では、全体を通しての「さわやかさ」が印象に残りました。主人公のアナが前向きで元気ですし、「雪の女王」ことエルサも悪役ではなく、むしろもう一人の主人公でした(構想当初は悪役だったそうですが)。アナや国のことを思って周囲を拒絶するという悲しい役回り。クリストフも良い男でしたしね。……まあ、ハンス王子がとことん小物の悪役だったのは残念でしたが。凍ってしまったアナが、お約束の男性からのキスではなく、姉の愛で目覚めるというのも面白いところです。


さわやかな印象を一層深めたのはラスト。主題歌の「Let It Go」は、もう押さえつけることなくありのままの自分でいられるという、前向きで力強い歌詞ですが、エルサが一人山に登りながら歌うシーンでは、どうしても寂しい感が残りました。どんなにありのままでいられても、周りに誰も居ないのではしょうがないのではないかと。だからラスト、魔法でスケートリンクを作り、雪の花火をきらめかせて、自分も周囲も楽しませる姿を見て、心から良かったと思わされたものです。みんなこれから末永くお幸せに。