真相解明はまだ先

研究論文(STAP細胞)の疑義に関する調査中間報告について(理化学研究所)
STAP細胞:理化学研究所の会見一問一答(毎日新聞)


注目された会見でしたが、現状ではいささか中途半端な、煮え切らないものとなっていますね。まあ中間報告だからといえばそれまでですが、結局肝心のところがはっきりしません。すなわち「どこまで意図的な捏造であったのか」 そして「肝心のSTAP細胞は実在するのかしないのか」。少なくとも、小保方氏の主張あるいは弁解を聞かせてもらいたかったところです。「混乱にお詫び」だけではしょうがありません。……もっとも、ここまでの流れからして、STAP細胞自体存在しないという可能性のほうが濃厚に見えるのは否めませんが。


僕が最初にこの「画期的発見」のニュースを目にした時、最初に連想したのは韓国で起きた、黄教授のES細胞捏造事件でした。続いて、以前読んだ「論文捏造」で書かれていたアメリカ・ベル研究所のシェーンによる超伝導物質の捏造事件を。どうにネガティブな反応ですが、世界の生物学を塗り替えようかという大発見が実績のない若い科学者によってなされたというのですから、やはりまず疑いが先に生じてしまいます。


もっとも、さすがに「捏造」というのは最悪のケースであって、「どこかにミスや勘違いがあるんじゃないかな」程度の予感だったのですが(もちろん、真にノーベル賞ものの快挙であることも期待していましたが)、どうも現実はその「最悪」の方に近づいてしまっているようです。共著者のハーバード大教授はまだ撤回を否定しているそうで、そこに希望があるのか、あるいは何らかの認識のズレが未だあるのか。いずれにせよ、さらに調査が進んでいくことになるのでしょうね。ここまで来た以上、徹底的な真相の解明と再発防止に努めてもらいたいものです。


それにしても、上記の、「論文捏造」の感想がそのまま今回の事件の感想に重なるのがなんとも。学者社会の悲しい普遍性なのかもしれません……。