「紫色のクオリア 3」

紫色のクオリア (3) (電撃コミックス)

見事に完結。いや、素晴らしかったです。原作も名作ですが、マンガ版もその魅力を十全以上に伝えてくれている。幸せな関係ですね。

毬井ゆかりを救うべく、波濤学はトライアンドエラーを繰り返す。どこまでもどこまでも世界を移り、作り変え、ついには「波濤学」ですらない何者かになって。原作で読んだ時もここのスケール感には圧倒されたものですが、こうしてマンガで見るとさらに印象強いものがあります。なお、個人的には学とアリスが恋人状態の世界が捨てがたいと思うところ。

そしてラスト。これはもう、感動なしでは見られません。今作の主人公は学といえば学なのでしょうが、それでもやっぱりゆかりの物語であるのだ、とも感じられます。

なお、巻末には原作者書き下ろしの、ゆかりから学への手紙も収録。これがまた、短いながらも深いです。結局ゆかりは助からないのかもしれない、という不穏な可能性をも感じてしまう辺が上手くもあり怖くもあり。まさかここに来てまた作品の印象を変化させられるとはねえ。奥深いです。

・原作の感想