「シェリル 〜キス・イン・ザ・ギャラクシー〜」


マクロスFシェリルを主役とした少女マンガという異色作。原作は基本的には男性向けの作品だと思われますが、こんなマンガが生まれたということは、それだけ本作の人気が女性層にも広がったことを示しているのでしょうね。興味深いです。マクロスFといえばシェリルとランカの2大ヒロインですが、少女マンガということであれば主役はシェリルというのも何やら納得してしまうところであります。


内容は別にパラレルワールドとかそういうのではなく、基本的な設定や流れはアニメと同じ。どちらかと言うと劇場版に近い展開でしょうか。それでも、アニメでは殆ど語られなかったシェリルの子供時代やアイドルとしての駆け出し時代が少し描かれていたり、当然といえば当然ながら、アルトとの恋愛的な描写も増加しています。


シェリルの強さと情熱、内に秘めた孤独や切なさがちゃんと出ていて、ランカ派の僕でも少しシェリルファンになりましたよ。ちなみに、シェリル主役だからといってランカも別に悪役とかにはなったりしません(当たり前か)。こちらも、可愛らしくも芯の強いシェリルの好敵手(と書いて友と読む)として魅力を発揮してくれています。しかし最後、ブレラとくっつくとは、ありなのか。……今検索したら、ブレランは結構ありみたいです。なるほど……。まあそれはそれで良し。


ところで、本作で一番株が上がったのはグレイスかもしれません。TV版ではラスボスになっちゃいましたし、劇場版でもいまいち真意が掴みきれなかった彼女ですが、本作でははっきりとシェリルに対する愛情が伝わります。これは救われますね。


マンガとして評価すると、物語はあくまで原作を知っていること前提の二次創作という感があり、単体でストーリーを全部理解するのは難しいでしょう。まあこれはしょうがないですかね。絵は綺麗ですが、ちょっと動きや戦闘描写には弱いところがあるかなあ。でも、キャラの魅力が出ているので及第点です。それとマクロスといえば歌。マンガでは声が出ないのが歌描写の難点ですが、今作はその点健闘してると思いました。ちゃんと歌っているのが伝わってきます。


総じてマクロスFが好きで、多少の改変も許容できる人なら楽しめる出来ではないかと。本作は「別フレ」に連載されたそうですが、原作知らない人にはどう読まれたんだろうかと、ちょっと気になるところです。