「野球太郎 No.007 2013ドラフト総決算&2014大展望号」

いまや野球好きには欠かせない一冊、野球太郎の毎年恒例ドラフト総決算号です。ドラフト直前号も買っているのに、こちらも買う。我ながら良い客ですな。


なんといっても今年の西武は森友哉の一本釣りに成功したため、ワクワク感が例年以上(と言っても、菊池雄星大石達也の6球団競合突破時には及びませんが)。森の将来性は、そして他のルーキーたちの能力はと、気になるところです。今号では、巻頭の拡大枠で紹介されていたのは松井裕樹、大瀬良大地、吉田一将、石川歩の投手4人で、森は普通枠での紹介でしたが、まあ森は表紙にも載ってますし、直前号で大きく扱われていたので良いとしましょう。


森個人の特集ページでは、ライターの谷上史朗さんが、十分期待している自分のような読者さえちょっと引いてしまうほど(すみません)の熱意で森への想いを熱く語ってくれます。谷上さんの評を信じるならば、森は「3割打てる捕手」の粋にとどまらず、毎年首位打者を争うレベルの打撃を見せてくれるのではないかと、夢が広がりますね。ま、ドラフト直後の夢がすべて正夢になるのなら、今頃大石は押しも押されぬ守護神になっているはずなのでありますが、それは来年以降に期待するとして。


それにしても、各球団ドラフト指名ではあまりにも野手を軽視し、「即戦力投手」に走り過ぎではないかという記事中の指摘には、うなずけるところ。今年の指名でも、森以外の野手は外れ外れ外れ1位で日本ハムが指名した渡邉諒だけでした。豊作不作の偏りはあるにしろ、野球というスポーツが攻撃と守備から成り立っている以上、投手と野手との指名比率は半々になるべきものではないか、と思えるところです。


森から離れますと、例年ドラフト決算号で楽しみにしているのが「スカウト密着ルポ」と「ドラフト答え合わせ」。特にスカウトルポは現場の悲喜こもごもが感じられる良企画。例年巨人・中日・オリックスのスカウトが出演している感じなので、もうちょっと球団の幅が広がるとなお読み応えがありそうです。もっとも、西武あたりはあくまで秘密主義を貫きそうですが。


ドラフトの真の結果は数年、いや、10年経たないとわからないとも言われます。意外な新星が飛び出して来るそのたびに、また本書を紐解くことになるのでしょう。