「言の葉の庭」

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新海誠監督らしい良作短編でした。ファンなら見て損なしですよ。


新海監督の作品は、過去、「ほしのこえ」「雲のむこう、約束の場所」や「秒速5センチメートル」を鑑賞してきましたが、前作である「星を追う子ども」は絵を見てもピンとこなかったのと、評価もいまいちそうだったので完全にスルーしてました。よって、久々の新海作品ということになったのですが、これは良い作品だと思いましたね。個人的評価としては「秒速〜」には及ばないものの、それに次ぎます。


15歳の少年と27歳の女性の出会いと交流の物語。いつもながらに光の描写が繊細かつ美麗ですが、特に作中で主要な背景を担う雨の描写が見事でありました。ストーリーの方も、いつものような切ない系ではあるのですが、ラストは今までで一番前向きなものと感じられましたね。主人公のタカオは一見暗そうに見えますが、実は結構芯が強い少年ですし、彼の周囲にいる兄とか、兄の恋人とか、学校での友人とかが短い時間ながらも良い味を出していて、彼が決して孤独な存在ではないことを伝えてくれました。


一方のユキノも、27歳という、タカオから見れば大人の女性でも、本人はまだまだ悩みの多いお年ごろという部分がうまく出てましたね。基本的にタカオ視点なので大人に見えるんですが。彼女の「正体」は意外だったし、タカオ同様に驚きましたよ。


45分の短編なのも良かったと思いますね。ストーリー的にこれ以上だとだれてしまいそうですし、上述のように光の描写が強い作品なので、あまり長いと見ている方が疲れてしまうということもあります(「秒速〜」は3部形式だったのが良かったと思います)。結局、変に大作にするよりも、短編のほうが新海監督に合っているのかもしれません。


なお、同時上映の「だれかのまなざし」も良作でした。優しく温かく、ほんのり感動の超短編。存在すら知らなかっただけに嬉しい驚きでしたが、制作の野村不動産さんGJです。


公開から10日程度経っているので、失礼ながら休日と言えども空いているかなと思っていたのですが、それでも半分くらいは埋まっていました。現在の新海監督の人気度はいまいちつかめないのですが、少なくとも、今後もアニメを作り続けられるよう、採算がとれることを願っております。