「アベノミクス」ってどうなんですかね

今年は例年に比べても相場の上昇が期待されているムードで、雑誌の見出しなどを見てもやれ日経平均が1万2,000円だ、いや1万3,000円だと、なかなか威勢のよい言葉が並んでいます。まあ今だけかもしれませんけどね。総楽観は売りとも言いますし。


とはいえ、年末からこっち、株高円安基調であるのは事実。これは景気の回復と言うよりもやはり、安倍新政権の経済対策期待によるところが大きいのでしょう。アベノミクス、なんて言葉もできちゃいましたが、さてどうなりますか。


注目されるのが、より一層の金融緩和によるデフレ脱却を掲げていることです。リフレだとかインフレターゲットだとか言葉が色々出てきてますが、要するに国債をもっと発行して、なおかつ財政政策も組み合わせて、市場にお金を供給することである程度のインフレを起こし、経済を活性化させよう、ということのようです。


ただ、インフレの制御に不安が残ったり、財政規律を失わせる手法だという批判も根強く、日銀をはじめ少なからぬ経済学者も反対しているようですね。金利が上がると国債の利払いも大変になりますし。


どうも、TPPなんかでもそうなんですが、専門家ですら意見が分かれるような物事を一介の国民が判断できるのだろうかと、こういう話になるといささか途方に暮れてしまうところではあります。それでもできるだけ判断しなければならないのが民主主義、国民主権ということなのかもしれませんが。


思いますに、医療に例えると、体調を崩して熱や痛みがあるときに「栄養をとって安静にしているのが一番」というのが従来の日銀的正統派の意見であって、「副作用の可能性はあるが、解熱剤や鎮痛剤を積極的に用いるべき」というのがリフレ派の意見なのかなと。軽い風邪の時は前者で十分ですが、重い病気の時は、熱や痛みそのものが体を痛めつけるから、まずはそれらを取り除かなくてはならぬと。


今の日本経済が結構な重症であるっぽいことからすると、解熱剤や鎮痛剤も必要なのかなという気はしてきますね。ただ言えそうなのは、仮にそれで症状が治まったにしても、それは一時的な薬効であって、効いているうちに真の回復を果たさなければますます悪くなってしまうんだろうなということ。どうも、「薬が効いたからもういいや」と油断して、症状を再発させてしまう的未来がなんとなく想像できてしまって、不安なところではあります。


何もかもうまくいく、とまでは思えませんが、刺激的な話であることには間違いありません。投資家としては、株が上がれば良いよ、なんて言いたくもなっちゃうのですが、将来に副作用があるのでは困るかなあ。とにもかくにも行く末に注目なのです。