ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q

さてさて、見てきましたよ、ヱヴァQ。この一週間ネタバレを避けるのに気を使ったにゃ(マリ風)。なお、この記事自体もネタバレを含みますのでご注意ください。




……さてしかし、予想の斜め上というか、なんと評して良いやら困ってしまうような展開でしたね。冒頭、宇宙空間でアスカが戦っているのを見て、「おお、アスカ無事だったんだ」までは良かったんですが、そこから先は「何ここ?」「この人たち誰?」という戸惑いの連続。シンジはエヴァに取り込まれて、別の時空にでも飛ばされてしまったのかと思いましたよ。でもそうじゃない。なんとシンジは14年間も眠り続けていたのだという。衝撃というか、呆然な話でありました。


シンジに(そして観客に)対する説明が不足する中で、もやもやした違和感を抱えつつ進むストーリー。これまで、なんだかんだ言っても力になってくれたミサトをはじめとしたネルフメンバーやクラスメイトに頼れない心寂しさが深まる中で、唯一カヲルだけが支えとなる気持ちはよく分かりました。逆に言えば、それを伝えるために説明不足にしたのかな、とさえ思います。


で、まあ、その後ピアノを弾いたり槍を抜いたりしてたら終わってしまいました、という感。……う〜ん、少なくとも「序」や「破」に比べて単純に面白い、という感触の作品ではなかったですね。4作目中の3作目ということで、ラストに向けての溜めの回、という意味合いもあったのでしょうが、それを差し引いても色々物足りない面がありました。


だいたい、上でも書きましたけど、みんなシンジに対して不親切すぎでしょう。いくらサードインパクトの関係があったにしても、14年間眠っていた少年に対して、もうちょっと細かい事情説明とかしてくれても良さそうなものでしょうに。結果的にはそれによってフォースインパクトの危機も起こるわけですし、なんであんなに放置状態なのかさっぱりです。唯一、冬月が将棋をしながら語るシーンは良かったですが、それでも不足ですよ。


あと、これも演出上の都合なのかも知れませんが、現状での世界の様子が見えないのもフラストレーションが溜まります。サードインパクトによってだいぶん犠牲者が出たようですが、反ネルフ組織がそれなりの規模をもって活動しているからには、生き残っている人も結構いるんでしょう。そのへんはどうなのか。一方で、ネルフの人員はそれこそゲンドウと冬月くらいしか見当たらないんですが、いくらなんでも二人で運営しているわけでもないでしょうに、どうなっているのか、とか。疑問は募ります。


まあ、庵野監督くらいになると、このへんの反応まで織り込んで作っているのかなという気もしますが、真価はいよいよ次作に問われる、というところでしょうか。


……それにしても、「破」におけるQの予告は、あれは結局なんだったんですかね。巷では「空白の14年間をイメージしたもの」という解釈も見受けられますが、映像(特に綾波の雰囲気)を見るかぎり、まったく別物という印象を受けます。「もともとあの予告で作るつもりだったが、構想が変わった」ということだと推測しますが、できれば元のシナリオで見てみたかったなあ。