「魔法少女リリカルなのは The MOVIE 2nd A's Original Soundtrack 」レビュー

魔法少女リリカルなのは The MOVIE 2nd A's Original Soundtrack

魔法少女リリカルなのは The MOVIE 2nd A's Original Soundtrack


なのはMOVIE 2nd A'sのサントラです。以前の記事で「作曲が佐野広明さんから中條美沙さんに変更となったのは残念」と書きましたが、同時に記したように、曲自体は決して悪くありません。というより、かなり良いです。これほどの人気シリーズともなれば、ちょっと変更があっただけでも批判の声が上がってもおかしくないのですが、そうした声を全然見かけのは、中條さんの音楽が成功したことの証明と言えましょう。


劇場だと1回聴くだけになって、なかなか覚えるところまではいかないものですが(もっとも、覚えるほど鑑賞する猛者もたくさんいらっしゃることでしょうが)、サントラで聴きこんでいくと、どんどん良さが分かってくる感じですね。


ということで、いくつかの曲について感想です。なお、数字はディスクナンバーと曲ナンバーです。



【1-8・急襲】
ヴィータがなのはを襲う場面。ライナーノーツに解説があるように、前半は不気味に、そして後半はメロディーを出していくという展開が面白いですし、何より緊迫感があって燃える曲です。



【1-9・古き騎士】
シグナムの登場。それと同時に、ヴォルケンリッター全体のテーマとなる曲でもあります。後ろで細かく鳴らされているストリングスとギターがなんとなくスペイン的な一品。タイトルと合わせ、ああ、そういえばヴォルケンリッターは長い時代を生き抜いてきた存在なんだなあ、と思わせてくれます。



【1-19・エクセリオン・セットアップ! 】
最初に観たとき、作曲者が変わったということを知らなかったので、この変身シーンで一番驚きましたね。これまでおなじみの「なのはのテーマ」が大きく変わっていたわけですから。従来のテーマが優しさや穏やかさといった、言わば「初期のなのは」のイメージを色濃く反映していたのに対して、この曲からは、なのはの持つエネルギー、明るい力みたいなものが連想されます。


なお、最初は全然別の曲に思えていたのですが、よおく聞くと従来のメロディのアレンジのような気がしないでもありません。25秒辺りからの流れが何となくそう聞こえる、くらいですが。このへん、音楽技法には素人なのでなんともです。



【1-20・Lightning Assault】
続いてフェイトです。さすがにかっこ良い。こちらも一聴すると従来までのイメージと大きく変わっているように聞こえますが、聴き比べてみるとメインの部分は結構近いので驚きでした。



【1-29・痛みよりもなお】
ライナーノーツによると、「RPG風」ということで、ヴォルケンリッターの悲壮な決意がストリングスの音色にのせて広がっていきます。TV版の「痛みを超えて」にタイトル、曲調共に通じるものがある一品。ヴィータの奮闘が切なく思い出されます。



【2-3・遭遇】
はやての病室での遭遇。「古き騎士」のアレンジですが、不安げな音が妙に耳に残ります。



【2-12・欲しかった時間】
珍しく、前作(1st)のテーマがそのまま取り入れられた曲。聴きなじみのあるメロディだけに、破壊力が増します。アリシア〜。



【2-16・A.C.S】
主人公のはずなのにいまいち目立たない、という声がないでも無かったなのはさんの、本作一番の見せ場。闇の書の意志との熱い戦い。とにかく燃えるギターメロディー、まっすぐに突き進むなのはの闘志! ロボットアニメのバトルもかくやというかっこ良い曲です。



【2-19・祝福の風】
はやての変身シーンですよ。StrikerSで彼女の変身シーンが無かったのは一体どういうことだったのか、いまだに不思議なところではありますが、それは置いときまして。短いながらも30秒過ぎからの一気の盛り上がりは、使用されるシーンとあわせて、感動ものです。ただ、シーンに合わせるためか、最後がやや尻切れトンボ的に感じられてしまうのは惜しいかな。



聴きやすくて派手な曲に感想が集中してしまいましたが、静かな曲も場面に合わせて高い効果を上げてましたね。また、生楽器演奏の流麗さや、音の分厚さ・迫力も1st以上でありました。


作曲者の変更に戸惑いはしたものの、リリカルなのはシリーズの音楽の良質さをしっかりと受け継いだ名盤である、と評価したいと思います。良かった良かった。