アイマスSS「うちのクラスの天海さん」が素晴らしかった話

以前のアニマス感想で「彼女たちの学校生活も気になる」と書いたのですが、なにかそういう話がないかな〜とネットをうろついていたところ、すっきりぽんさんが作られた「うちのクラスの天海さん」に出会いました。


本来はニコニコ動画でアップされた作品、いわゆるノベマスというやつらしいのですが、実は僕はニコニコアカウントもってないので、pixivに載ってた小説版の方です。なので、もしかしたら本来の評価には成り得ていないのかもしれません。ですが、この小説版でも作品の魅力は存分に存分に伝わってきて、一撃ノックアウトでした。


主人公の「僕」視点で語られる、クラスメイトの天海さんのこと。ここで「春香」ではなく、あくまで「天海さん」であるところからしてポイントですね。アニメやゲームの世界だと、なぜか名前呼びがデフォルトになっていたりしますが、普通、特別仲が良いわけでもない女子はこういう呼び方になるでしょうから。それだけで、等身大の世界を浮かび上がらせてくれます。


「よく見るとかわいい、のほほんとした女の子」の天海さんが新人から、だんだん人気アイドルになっていくまで。でもそれでもやっぱり変わらない彼女の自然体な魅力が、「僕」の目を通して実に温かく書かれていて、そんな彼女に憧れる主人公の心情にも素直に感情移入できました。遠いようで近い、近いようで遠い、そんな彼女との距離感がまた青春といいますか切ないですねえ。


加えて、本作の良いのは世界が狭くなっていないところですね。「僕」と「天海さん」だけでは無くて、他のクラスメートだったり、ライブに来るご近所の人だったりと周囲が開けている。それがより、みんなのアイドルという春香の立ち位置を感じさせてくれました。



作者様のブログによると、

 団結の歌詞にもある「明るく前向き」な春香さん像は、もともとの性格というより、モチベーションが高くてテンションが上がっているからそう見えるという部分があると思います。
 普段は、というと語弊がありますが、家や学校ではもうすこしスローペースでおおらかに、十六年間、のびのび太で育ってきた子なのではないかと。

がんばり屋、と紹介されることもありますが、それも根が努力家なのではなくて、アイドル活動に対してだけ発揮されるがんばり。むしろ本来はサボリ魔で自分に甘いというにおいがぷんぷんします。うわあ、サボらせたい。甘やかしたい。


なるほど〜。そもそもゲームをやっていない僕が納得して良いのか分かりませんが、説得力があります。「いつも元気で前向きで努力家」というのは、普通の人間にはちょっと難しいと思うんですよね。まあ、超人的天才なら別かもしれませんが、春香にはそこまでのオーラはないですし。となると、アイドル活動で頑張る分のエネルギーを普段の生活でバランスとってる面があったりするのかも。深いです。