SHM-CDと高音質CDの夢

先日、CDショップでSHM-CDが売られているのを見ました。話に聞いてはいましたが、実際に見るのは(多分)初めてで、ついじっくり眺めちゃいましたよ。


SHM-CDとは、メーカーの売り文句によると、CDの素材を改良して音質を良くしたものということです。正式名称スーパー・ハイ・マテリアルCD。似たようなものとして、ブルースペックCDというのもあります。


で、上述のSHM-CDは2800円。同じ演奏で、通常版CDは1600円でした。倍とまでは行かないものの75%増しですから、かなり強気の価格設定です。果たしてそこまで効果はあるのでしょうか? ネット上の記事・意見をいくつかまわってみると、どうやらCDプレーヤーで再生する分には一応変化が感じられるようです。さすがにメーカー側も、全く効果が無いものを大々的に売り出すってことは無いようで。


ただ、「素材を良くして読み取り精度向上」というメーカーの言い分を認めるとなると、必然的に次の疑問が生じてきます。


「だったら、結局ハードディスクに取り込むのが最強なんじゃない?」


通常のCDでも、SHM-CDでも、さらには1枚10万円以上するガラス製CDであっても、同じマスターであれば収録データは同一。正常にリッピングしてしまえば1ビットたりとも違いが出ないわけです。おまけに、CDプレーヤーのように光学レンズでリアルタイム再生する必要が無いわけですから、理屈上はSHM-CDよりも音質は向上するはずです。


結局僕は、通常版のCDを買って、いつもどおりハードディスクに放り込んだのでした。……なんだか意味無いなあ、SHM-CD



それにしても、せっかく高音質をうたうのだったら、もっとマシなのが出ないものでしょうか。SACDがあるじゃないかと言われそうですが、あれは敷居が高すぎます。第一、PCで再生できない時点でどうにもなりません。


むしろ僕の希望としては、超高音質のロスレスファイルをそのままCD-ROMに放り込んで発売していただきたいと。まあONKYOがやってるみたいに配信でも良いんですが、物を保有する魅力というのも捨てがたいので。CDじゃ容量が足りない? じゃあDVDでも良いでしょう。現在でもラジオCDあたりではファイル形式での発売例があるわけですし(そちらは容量縮減が目的ですが)、黒歴史のごとく消え去ってしまったDVDオーディオよりも注目されそうな気がするんですけどねえ……。