「がん治療の常識・非常識」

幸い今のところガンの心配は無いですが、知識として読んでおこうと手に取りました。これがなかなかに刺激的な本。一昔前に、「患者よ、がんと闘うな」が大きな話題になりましたが、全般的にはその流れを汲む一冊と言えましょうか。


近年、治療が進歩したと言われ続けているガンですが、著者はまず、それが必ずしも正確な話ではないことを示します。早期発見はたしかに増えているけれども、そのために分母が増えて、成績が良く見えるようになっただけであると。つまり、一定程度進んだガンに対しては、今も昔も大して差は無いということです。


著者が取材した結論は、抗ガン剤の過信は避け、手術も必要最小限に、放射線は上手く使うこと。まあ、どれをとっても難事であることには変わりなく、やはりガンは人にとって大敵であるのだなあ、と思わせてくれますが。


もし僕がガンになったら、せめてモルヒネは適切に使って、痛みをとってもらいたいものです。