アニメ版Fate/stay night 総合感想

さて、長いようで短かった半年間。Fateのアニメ版もついに終了となってしまいましたので、振り返っての感想などを。


端的に言って、やはり原作の面白さが相当に削られていることは否めなかったですね。もともと奈須さんの文章をアニメ化するのが難しいのは承知しておりましたが、設定面ではなくバトルの迫力において原作に及ばないとは予想外でした。動き自体は割と頑張っていたと思うのですが、いかんせん見せ方の迫力が足りなかった。素人ゆえ具体的指摘はしがたいのですが、軽すぎて迫力を欠いた、といいますか。音楽も「血湧き肉躍る!」という雰囲気がほとんど無く、淡々とした調子になってしまってました。なんといっても、Fateの華はバトルであるわけで、ここが弱いのは痛かったです。特に16話におけるセイバー&士郎vsバーサーカーは残念だったなあ。


また、アニメFateは純粋に話の流れとしてもおかしな面が散見されました。セイバールートと凛ルート、加えて一部桜ルートをも混ぜたために統一性に欠けた構成(キャスターの出番などを考えるとルートを混ぜること自体は必要だったと思うのですが、もうちょっとうまく出来なかったかなあ……)。「宝具」や「ライダー」といった用語が突然出てきて説明の無い進行。慎二や一成、綾子といったキャラが消えっぱなしになってしまう状態等。何より致命的だったと思うのはセイバーの願い、そして彼女のサーヴァントとしての特殊性が説明抜きにひょっと出てきたことです(19話ですね)。いかになんでもこれはおかしかった。脚本間での連絡が取れていなかったとか何かなのでしょうか。他の欠点については「まあしょうがない」で済ませることも出来るのですが、これは防げたはずだと思います。


それなりに原作に準拠して作ろうという意思は感じましたが、公式サイトにさっぱり情報が無いことを見ても、いささか気合に欠けていたのではないかと、邪推してしまうのが正直なところでした。



ただ、アニメ単体としてみた場合、それなりの面白さは保持したのではないでしょうか。原作未プレイの方の感想は最高ではないにしてもそこそこ好評のようですし、ゲームを買った、または買うという声もちらほら見受けられます。プレイ済みの視点から見ても、14話は素晴らしい出来だと思いましたし、最終回も力が入っていて見ごたえがありました。ゲームでは無かった声優陣の演技も良かった。これも評価点です。個人的には、なんだかんだ言いつつも最後まで楽しめました。満足したとは言えませんが、原作を100とすると期待値が60。結果は50というところですかね。少なくともアニメ化した「価値」はマイナスではなかったと思います。